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㈱アルバックス 呂娟代表取締役に聞く

2009-07-24 20:34:40 筆者:admin06 出処:日中新聞社 回数をブラウズします:0 ネット友達から評価 0 箇条

日中合作映画『夢の壁』への意気込み

5月末完成へ 撮影に拍車
若い世代が日中友好の中核に

【リード文】

 ㈱アルバックス代表取締役の呂娟さんが製作中の日中合作映画『夢の壁』が5月末に完成する予定。原作は加藤幸子さんの第88回芥川賞受賞作品「夢の壁」。戦争で母親を亡くし、悲しみを背負い込む中国人の少年と日本人の少女・佐智との無垢な心の交流を描いた映画だ。ベネチア映画祭や東京国際映画祭にも出品して賞を狙いたいと意気込むプロデューサー・呂社長に聞いた。

 

 

日中の「壁」を乗り越える

「映画通じて考えてほしい」

 

 作家・加藤幸子さんの「夢の壁」は1982年の第88回芥川賞受賞作品。呂娟社長はかなり以前にこの小説は読んで「深い感動を覚えた」という。現在、この作品を撮っている映画監督・張加貝さんと事前調査をしたところ、世界を代表する巨匠・黒澤明監督も「夢の壁」を映画にしたといと望んでいたという。しかし、当時の日中の政治状況はあまり芳しくなかったため、実現することができなかったというエピソードを耳にした。

 黒澤明監督も実現することができなかった「夢」を実現するなら、日中関係が良好な今がチャンス。呂社長と張監督は、はやる心を抑えきれなかった。日中関係は小泉政権の時「政冷経熱」と揶揄されほど最悪だったが、安倍政権に入って雪解けムードになり、現在は首脳の相互訪問も活発化し、ある一定の友好関係が維持されている。

 しかし、国民レベルの理解はというと今ひとつ前進がみられない。そうした状況を打開するためには、この映画は大きな影響力を与えるだろう。そこで呂社長はこの映画を「日中平和条約締結30周年記念企画作品」と銘打った。「日中両国が対等の立場で、今後の日中合作や文化交流の発展につなげられたらと願っています」と語る。

     ◇

 この映画には日本側から俳優の風間トオル、佐々木麻緒、小林綾子が出演している。風間トオルは、テレビ、映画、舞台、CMなどで大活躍中の俳優。佐々木麻緒は日本を代表する子役。2005年の『火垂る墓』で一躍注目された。また、小林綾子は1983年放送のNHK朝の連続テレビ小説『おしん』の少女時代を好演して大ブレイクしたことで有名。この『おしん』は海外の多くの国で放送され、人気を集めている。

 当然『おしん』は中国でも名を馳せており、小林自身も何度も中国を訪ねている。胡錦濤国家主席と会談した経験もあり、中国には特段の深い感情を持っているとも。

 映画『夢の壁』では中国の少年の母親が目の前で旧日本軍によって殺害されるシーンが出てくる。「しかし、日本人への恨みは、日本人の少女との交流で薄らいでいきました。恨みは人と人の信頼と友情で乗り越えなければなりません。そしてお互いの夢を実現することが大切です」と呂社長。

     ◇

 子供の視点で「日中友好」を描くこの映画は、若い世代に大きな影響を与えるだろう。「友情を永遠に継続し、大きな気持ちで相手を許す。相手を受け入れる。そのためには相手の立場に立って考え、実行する。映画『夢の壁』は、国は異なっても、共に力を合わせて友好を阻む『壁』を乗り越えることの大切さを描いています」と熱く語った。

 先般、呂社長、張監督、俳優らが北京で制作記者会見を開催した。席上、張監督は「日中の壁をどうやって壊せるか。映画を通じて皆さんと考えたい。できれば中国と日本で同時上映したい」と抱負を語った。ちなみに張監督は現在、日本に住み、日本で映画制作を学んでいる。最近、雲南省の大自然を舞台に、母と子の愛情物語を撮った映画『母ときた道』が日中両国で好評を博している。映画を通じて日中の絆を強固にしたいという願いを持って作品制作に力を注ぐ。

 「戦争は悲惨で残酷です。二度と起こさないように努力しなければなりません。しかし、この映画は単に戦争の悲惨さを伝えたいのではありません。どんな苦しい状況でも人々は明るく、力強く生きていけるのだということ。中国人であろうと日本人であろうと、たとえ両国がいま戦争をしていたとしても、一人の人間として『愛』を貫いた人々がいることを知ってほしい。その心と勇気と愛がある限り、日本と中国、世界の人々は必ず理解し合えるはずです」と呂社長は語った。

■『夢の壁』ストーリー

 1946年秋。前年に太平洋戦争が幕を閉じ、アジア各地に住んでいた日本人の多くが本国へ引き揚げたが、藤野佐智(8歳)の一家は違っていた。

 佐智の父・修平(38歳)は応用昆虫学者で、戦時中、北京の大学で教鞭をとっていたが、中国政府の依頼で戦後も北京に残り、若い研究者の指導にあたっていた。佐智の家では、老高(ラオカオ・40歳)という中国人の洋車引きが住み込みで働いているが、ある日、老高の息子・午寅(ウーイェン・6歳)が家にやってきた。

 佐智は午寅から、午寅の故郷・山西省に『夢の壁』があることを聞き出す。『夢の壁』の上で眠ると、自分の将来が夢に出てくるという。その日から『夢の壁』に思いを描き、想像を膨らませていった。

 ある日、北京での生活を続ける佐智一家に帰国命令が下された。同じ頃、午寅は家出をして山西省へ帰る決心をする。それに気づいた佐智は『夢の壁』を見たい一心で午寅に同行することを決断する。

 山西省行きを両親に話せば反対されるに決まっているから、両親には内緒だ。こうして二人は貨物列車に忍び込み、山西省へ向かった。

 

 

 

写真

映画を通じて日中の若者たちの友情が育ってほしいと語る呂社長

 

 

 

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