◆日本財団 記者懇談会
2009-07-24 19:53:04 筆者:admin06 出処:日中新聞社 回数をブラウズします:0 ネット友達から評価 0 箇条
日本財団(笹川陽平会長)は4月6日午後3時から同財団ビルで記者懇談会を開いた。2009年度事業計画・収支予算をはじめ、日本財団の活動内容について説明を行った。活動内容は①東京大学海洋研究所などと協力して進める深海観測②日米シーパワーダイアローグの開催③西アジア・北アフリカ地域フォーラムの開催④自衛隊佐官級訪中と日中の歴史に関する書物の発行⑤市民アンケート「緊急雇用対策に関する市民の意識調査」報告⑥民間企業(ジンマー株式会社)から大型寄付の受け入れなど。本紙では特に日中関係の事業報告と計画について紹介したい。
日中交流史を総括・評価
対話の場を提供、論文集も
戦後の歴史認識形成に一石
ハーバード大でシンポジウム
■08年度事業報告
最初、笹川日中友好基金の2008年事業紹介について報告が行われた。一つは中日友好交流30年(1978~2008)の交流史を総括・評価したものが出ていないという現状を鑑み、中国人学者に交流史を総括・評価してもらうことになった。そこで『中日友好交流三十年』を北京・社会科学文献出版社から出版するとともにシンポジウムも開催した。
日本と中国が平和友好条約を結んだのは1978年。中国政府が改革開放へと政策転換した年だった。以来30年、中国側のドラスティックな社会変革と驚異的な経済成長とともに、日中間では想像以上のヒト・モノ・カネが行きかうようになった。
しかし、交流が盛んになるつれ、日中間では不協和音も生まれてきた。例えば1980年代には華々しい友好イベントの陰で、教科書問題を発端に歴史認識が問題化した。1990年代には双方で一部ナショナリズムが高揚する時期もあり、2000年代には「政令経熱」といわれた時期もあった。
30年の日中関係を双方はどのように見えるだろうか。『中日友好交流三十年』は、中国社会科学院や北京大学などに属する中国第一線の研究者たちが、この30年間の出来事を政治・経済・文化教育・民間交流の各分野にわたって多方面かつ網羅的に叙述したもの。
これらの日中関係を構想するうえで、30年を回顧した中国側資料は貴重。同書は中国語・3巻・合計約1060ページ。同書の日本語版の翻訳作業はすでに完了しており、東京大学出版会が7月中の出版を目指して編集と刊行作業を進めている。
一方、06年に笹川日中友好基金事業として、歴史認識のデリケートな問題があり、日中の若い研究者の手で日中双方の考え方をまとめた。それは東京大学出版会から出版され、好評を博している。これを受けてシリーズ2冊目が3月に出版されたばかり。特に1945年の歴史認識を詳細に綴っている。
■1945年の視点
日本では、1945年は日本の近代史認識にとって重要な意味を持っている。多くの日本人は1945年という転換点の意味を重く受け止め、戦後の日本は「平和国家」として、戦前とはまったく違う価値観に立脚している。このことを自覚しているといえる。
一方、中国では日本のような「1945年の視点」は共有されず、戦前と戦後の日本の相違が重視されなかった。もちろん1945年の抗日戦争の勝利は、重要な歴史の節目だが、多くの中国人が注目しているのは、1911年の辛亥革命から一貫して近代的な統一国家の完成を目指してきた中国の人々の努力だ。
しかし、日本の敗戦を機に起こった東アジアにおける新たな国土と国民の再設定、それによってもたらせたさまざまな経験は、現代の日本、中国の人々の歴史認識に大きな影響を与えている。
1945年8月に始まった日本・中国大陸・台湾・満州にいた人々の帰国、引き揚げ、復員、留用、残留に対して、当時の人々は何を思い、どう行動したのか。こうした経験や思いは、どのように戦後の歴史認識として形成されてきたのか。こうした視点から歴史を見れば、東アジアの国々の歴史認識を巡って冷静に共同作業を進められるのではないか。
同書は東アジアの国家、国民の再設定が行われた「1945年の視点」から、歴史認識問題を解決する潜在的契機を見つけ出そうと試みた日中の若手歴史研究者による共同研究の成果といえる。
共通のテーマでの対話を模索して始めた事業で、具体的な対話の場としてハーバード大学で東アジアでの対話理解がどのように行われているかを議論するシンポジウムを開催した。さらに英訳版の翻訳・出版をはじめ、論文集の合同作成を行った。
日本語教材の開発支援も行った。日本研究の学者はもとより、日本語や日本文化を学ぶ学生が増加していることに呼応して、汎用性が高く、内容的にも日本理解を助ける大学レベルの日本語学習者用教材を開発し、急増する日本語学習者の学習条件を改善しようというもの。中日の専門家が参加する合同編集会議の費用を支援した。
笹川会長は「中国には日本語を学ぶ学生が48万人もいる。しかし、教科書が古い。そこで日本語を学ぶ学生が使う教科書を日中共同作業でつくる」と述べた。
■09年度事業
2009年度事業については、まず日中佐官級交流が上げられる。この交流は防衛関係者の理解促進が狙い。笹川陽平会長は「自衛隊と人民解放軍の交流についてはトラック2と位置づけて粘り強く実施してきた。小泉政権のとき日本と中国の国家間交流がストップしたが、トラック2を維持しようという意識で、日中間が冷え込んでいるときも継続的に実施してきた。今回の自衛隊佐官級研修と人民解放軍幹部訪日交流は野球でいえば9回に入ったということになる」と述べた。6月に自衛隊訪中研修を、8月に人民解放軍幹部訪日交流を実施する。
このほか「中日交流40周年(1972~2012)」に対する日本人学者による日中交流史の総括と評価を行う。具体的には対話の場の提供をはじめ、論文集の作成を行う。
さらに「若手歴史研究者会議」事業として、対話と共同作業を模索して「国境を越える歴史認識」の英語版の翻訳・出版を行うほか、「中国近代史における日本要素」をテーマに論文集の合同作成やシンポジウムを開催する。
「現代日本紹介図書シリーズ翻訳出版」事業も同財団が力を入れる事業。中国において恒常的に不足している現代日本を知る手立てとなる知的情報を中国国民に提供することが目的。具体的には日中の専門家による図書推薦委員会の活動をはじめ中国の主力出版社が参加する「現代日本紹介図書シリーズ編集委員会」」に翻訳、出版業務を委託する。
笹川会長は「日中においては両国の違いを知ることが重要。日本人は中国のことをほとんど知らない。一方、中国人も日本のことをほとんど知らない。市民の人たちの目に見える情報の発信していきたい」と述べた。
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趣旨説明する笹川会長

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