中国の視覚障害者に盲導犬を!
2009-10-13 17:59:25 筆者:admin06 出処: 回数をブラウズします:0 ネット友達から評価 0 箇条
チャリティーコンサートで支援募る
【リード文】
「中国の視覚障害者に盲導犬を!」――日馳文化交流会(㈱ニッチ=島村裕代表取締役・さいたま市)は7月18日午後4時から柏屋楽器浦和フォーラムにおいて中国大連盲導犬育成施設支援コンサートを開催した。中国・大連医科大学では王靖宇教授をはじめ、数人のスタッフが盲導犬育成活動を行っているが、そのスタッフたちがこの15日から18日まで財団法人アイメイト協会で盲導犬育成研修を行っていたもの。最終日の18日にその活動支援のためのチャリティコンサートが行われた。

【本文】
■アイメイト協会へ
大連医科大学から来日したのは王靖宇教授をはじめ3スタッフ。15日に来日し、16日には視覚障害者と盲導犬がアイメイト協会(東京・練馬区)を出発し、地下鉄を利用して銀座へ。さらに再び銀座からアイメイト協会に戻るという移動に同行し、盲導犬との街中を実際に歩く研修した。翌17と18日はアイメイト協会での盲導犬訓練研修を行い、18日昼頃、浦和に移動し、コンサートに臨んだ。
コンサートに先立って挨拶した㈱ニッチの島村裕代表取締役は王教授をはじめ3スタッフが15日から18日までの研修を無事終えたことを報告するとともに、「今回の研修に対してアイメイトの皆さんがご家族ぐるみで研修生を温かく迎えていただいたこと。中国大使館友好交流部や日本中国文化交流協会等の多大な支援があったことに感謝したい」と述べ、㈱ニッチが盲導犬育成支援を行うことになったきっかけについて語った。
㈱ニッチはさいたま市岩槻で20年ほど前から主に中国・大連近郊で鋳物製品を輸入調達し、日本国内各企業に販売する事業を展開してきた。特に中国・大連では自社工場および事務所を設立した。そこで「事業だけでなく日頃お世話になっている中国の人に恩返しをしたいということになった」という。
■㈱ニッチの活動
あるとき大連盲導犬育成基地の存在を聞いた。基地の代表である大連医科大学の王教授が日本留学中に長野パラリンピックで盲導犬の存在を知り、中国の1200万人を超えるという視覚障害者のために私費で基地設立を思い立ったことを聞いた。「ぜひ中国大連医科大学で盲導犬育成事業に携わっている王先生を応援したい」と支援活動を決意する。
そこで日本で一番最初に盲導犬を育成し、50年の歴史を持つ財団法人アイメイト協会に白羽の矢を立てた。アイメイト名と協会の支援を得て、支援活動を展開することになった。具体的には大連盲導犬育成基地の訓練技能向上を支援し、盲導犬育成強化のために日本ではアイメイト協会、中国では大連盲導犬育成基地の支援を行い、両施設間交流のサポートも行っている。
中国国内の盲導犬の認知・普及・支援については遅れが目立つ。しかし、日本では視覚障害者の盲導犬利用による生活の向上が進んでおり、日中交流によって中国における課題克服が図られるのではないかと期待されている。
王靖宇教授が私財投じて活動
視覚障害者1233万人救済へ
■手探り状態
次いで挨拶に立ったアイメイト協会の塩屋隆男理事長は「昭和32年に盲導犬第一号を誕生させてから50年。この間、視覚障害者と盲導犬を社会に1996組送り出した。やがて大連の王教授と知り合いになり、それまでは中国に対する知識はなかったが、大連医科大学を訪問し、飾り気のない、実直な王教授と交流し、中国を知るようになった」という。特に「王教授が手探りの状態で仕事をしている実情に接した。何かお手伝いできることはないか。あればお手伝いしたいということで交流がスタートした」と述べた。
また、「今回の研修では大連の研修スタッフはアイメイト協会に寝泊りして歩行指導の一部を見学していただいた。今年6月末から7月初めにかけて大連盲導犬育成基地に行って驚いた。王教授は私財を投じて事業を5年間も継続していた。身内に視覚障害者の方がいるそうだが、外出の際に苦労しているという。私財を投じて事業を継続している王教授の情熱に感動し、できる限りのお手伝いをしたいということでご支援している」と述べ、会場の人たちに支援を呼び掛けた。
■盲導犬普及に遅れ
王教授は2001年に広島大学を卒業し、祖国中国に戻り、大連医科大学に勤務した。同大学ではマウス、ラット、ウサギなどを飼育し、人間のために動物実験を行っている。この日、王教授は「04年11月に盲導犬の行動学について学んだ。最初、自分をパピオカにして6頭を飼った。そして目の不自由な人に10頭を譲渡した。現在、施設内では17頭を訓練している。このほかパピオカに17頭を育てていただいている。島村さんや塩屋さんにはいろいろ教えていただいて感謝している」と述べた。
なお、中国は13億人を超す人口を抱えているが、障害者は8600万人に上るという。このうち視覚障害者は1233万人。大連市の人口は約600万人だから、中国にはこの人口の2倍の障害者がいることになる。盲導犬を育成する組織は大連にしかなく、盲導犬育成事業は、私財を投じてその普及に努める王教授の双肩にかかっている状態。しかし、現状は盲導犬が普及していないため、視覚障害者のほとんどは外出できない。この日、王教授は「皆さんのご協力をぜひお願いしたい」と会場に支援を呼び掛けた。
「黄原亮司コンサート」
チェロの魅力に触れる
■チェロに酔う
この後、「黄原亮司コンサート」が行われた。黄原さんは中国上海音楽院を卒業。財団法人辻アジア国際奨学財団の奨学生となり、92年東京藝術大学大学院修士課程修了。その後、ヒューストン大学、ジュリアード音楽院に留学。第二回日中国際音楽コンクール弦楽器部門第二位。現在、東京交響楽団チェロ・フォアシュピーラー奏者、国立中国音楽院客員教授。東海大学非常勤講師を務めるほか、ソロ、室内楽、CMなどで演奏活動を行う。
また、この日、ピアノを担当した水野ゆみさんは東京藝術大学、同大学院卒業。卒業時の成績により、皇居桃華楽堂により御前演奏の栄誉に授かる。その後、国際ロータリークラブ財団奨学生としてドイツのカールスールエ国立音楽大学大学院に留学、最優秀で卒業する。イタリア、セニガリア国際コンクール奨励賞受賞。日本、ドイツ、アメリカ各地でのソロリサイタルをはじめ、コンクール審査員、講演会等で活発な活動を行う。現在、武蔵野音楽大学講師。
コンサートではエルガーの『愛のあいさつ』、アイルランド民謡の『ロンドンデリーの歌』を一気に演奏した後、趣をがらりと変え、クライスラーの『中国の太鼓』、夏家宝の『江南漁歌』を演奏する。最初の『中国の太鼓』はバイオリンのために書いた中国の祭りの曲だが、チェロがどのような雰囲気を醸し出すかが注目された。『江南漁歌』は中国の南地方の民謡。大きな湖で陸に妻と子供を残し、漁業で生活を支える男の歌。
次いでサン=サーンスの『白鳥』とリムスキー=コルサコフの『熊蜂の飛行』。『白鳥』は優美な白鳥の姿が目に浮かぶようなゆったりとした曲。一方、『熊蜂の飛行』は本来はマリンバで演奏する曲だが、チェロでこの曲に挑んだ。慌しく飛び交う凶暴な熊蜂の姿を軽快なリズムで心地よく演奏する。対照的な選曲に会場をうならせた。
■優美な余韻
そして最後はショパンの『序奏と華麗なるポロネーズ』とモンテイの『チャルダッシュ』。『序奏と華麗なる~』は本来はピアノ曲。フランス滞在中にショパンがお世話になった生徒の父親へ感謝を込めて書いたという。また、『チャルダッシュ』はバイオリンの曲だが、これをチェロで演奏する。「チェロは目立たない楽器だが、オーケストラや室内コンサートでは欠かせない重要な存在。幅広く、さまざまな曲を演奏できる。音楽家は自分の楽器が最高だと思っているが、バイオリンと比べて違いに注目してください」と黄原さん。
割れるような拍手のなか、アンコールの声がかかり、2曲を演奏した。1曲目は日本の『浜辺の歌』、2曲目は中国の『湘江の歌』。2曲はメロディーが似ている。特に『紹興の歌』は中国の中部地方、河南省あたりの揚子江が流れる大陸的な風景が曲の背景になっている。美しい山水が聴く者の心に安らぎを与える。しっとりとした浜辺のたたずまいを曲にした『浜辺の歌』、そして山水の雄大さを曲にした『湘江の歌』。いずれもチェロの流れるような旋律で見事に蘇る。会場に視覚障害者を伴ってやってきた盲導犬も心地よさそうに耳を傾ける。40分ほどのミニコンサートは優美な余韻を残して幕を閉じた。
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