三菱UFJ銀、中国企業に800億円融資 邦銀で最大
2016-06-30 14:24:07 From:日本経済新聞 コメント:0 クリック:
三峡集団は2015年11月、ブラジル政府が保有する水力発電所の経営権や設備を総額138億レアル(約4400億円)で取得する方針を明らかにした。三菱東京UFJ銀の融資で買収手続きが一歩前進する。融資期間は3年で、6月中に貸し出す。中国国内は融資規制が厳しいこともあり、米国の拠点などを通じて融資を実行する。
中国企業向けの大型与信では、みずほ銀行が日産自動車の中国合弁である東風汽車に35億元(約540億円)の融資枠を設定した例がある。
三峡集団は中国政府が直轄する「中央企業」と呼ばれる企業の一社。水力発電会社としての規模は世界で最も大きく、長江中流に位置する三峡ダムを運営する。中国が14年末に創設したシルクロード基金によるパキスタンの水力発電事業に参画するなど、国策会社の色彩が強い。
同社は15年にもネパールで大型水力発電所を建設することを決めている。今回のブラジル進出も「走出去」と呼ばれる海外進出策の一つに位置づけられている。
中国はインフラ輸出に力を入れるが、受注を優先するあまり事業計画の詰めが甘くトラブルが頻発している。米西部の高速鉄道事業では合弁の解消に追い込まれたほか、タイでは長距離鉄道の計画縮小を迫られた。中国側のずさんな対応に批判も高まっている。
ただ、今回の融資は発電所の経営権などの取得が目的だ。安定した収益も見込めるため、三菱東京UFJ銀はリスクが限定的と判断したもようだ。他の銀行の保証を得ることで与信リスクを抑える。
三菱東京UFJ銀には今回の大型案件を中国事業のてこ入れに生かしたい考えだ。中国は16年1~3月期の実質経済成長率が6.7%と7年ぶりの低水準にとどまった。4月以降も輸出や民間投資の低迷が続き、明確な底入れにはいたっていない。主要顧客である日系企業が設備投資に徐々に慎重になるなか、邦銀の中国向け融資は減速が目立つ。
3月末の中国向け融資残高は三菱東京UFJ銀や三井住友銀行が前年同月を下回り、みずほ銀も伸びが鈍化した。各行とも融資先の信用力を重視しており、景気減速下では新規開拓が思うように進まない面がある。大手国有企業の海外でのM&A(合併・買収)などに参画し、融資を伸ばそうとする動きが活発になっている。
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