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「ついのすみか」に異変 熱中症疑いで捜査、岐阜の病院
2018-09-03 12:58:48   From:日経   コメント:0 クリック:

 岐阜市の「Y&M 藤掛第一病院」で、エアコンが故障した部屋に入院していた80代の男女5人が死亡した問題は4日で発覚から1週間となる。老人医療が専門の同病院は身寄りのない高齢者らにとって「ついのすみか」の役割を果たしていた。岐阜県警は熱中症で死亡した疑いもあるとみて捜査。異変の発生に地元では動揺が広がる。

「Y&M 藤掛第一病院」は身寄りのない高齢者にとって「ついのすみか」の役割を果たしていた(1日、岐阜市)=共同

「Y&M 藤掛第一病院」は身寄りのない高齢者にとって「ついのすみか」の役割を果たしていた(1日、岐阜市)=共同

 病院では3階と4階のエアコンが8月20日に故障。扇風機を置き、重篤な患者を別の部屋に移動させたが、両階に入院した83~85歳の男女5人が26~28日に死亡した。

 一部の患者をエアコンの故障した部屋に残し続けた理由について、藤掛陽生院長は患者が選択したと市に説明。「暑いところが好きな人もいる」と問題はなかったとの認識を示し、取材に対しても「エアコン故障が死亡につながったとは考えていない」と話した。

 病院はその後、取材に応じていない。飯尾良英中部学院大教授(地域福祉論)は「病院の危機管理や情報共有が不十分だった可能性がある。直ちに内部調査し結果を公表すべきだ」と指摘する。

 市によると、藤掛第一病院は医療保険が適用される療養病床が119床。要介護度1~3の高齢者を中心に、問題が発覚する前には約50人が入院していた。

 療養病床は、家庭の事情などで自宅療養が難しい高齢患者が「社会的入院」をしていると指摘されることもあった。介護や長期療養を必要とする高齢者が頼る医療機関だったが、「入院から在宅へ」と国が方針を打ち出す中、長期入院できる地域の病院は少なくなっている。

 問題が報じられた後、市の指導もあって転院が相次ぐ。脳塞栓の母親(76)を入院させている男性(44)は「老人ホームも受け入れてくれない母親の面倒をよく見てくれた。ここを出たら、数カ月おきに病院を探さないといけない」と話す。

 県警は業務上過失致死容疑を視野に捜査。司法解剖の結果、一部の患者について熱中症だったとの見方を強めているが、エアコン故障と死亡との因果関係を調べるには時間がかかりそうだ。捜査幹部は「扇風機を置くなどそれなりの措置を取っている。病院の過失責任を問うのは、相当難しい」と本音を漏らす。

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