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船で移動 やっと一息 関空、台風で一時3000人孤立
2018-09-05 13:56:29   From:日経   コメント:0 クリック:

 台風21号が列島を通過して一夜明けた5日、利用客ら約3千人が孤立した関西国際空港では船やバスによる輸送が始まった。「情報がなく不安だった」「長引いたらどうなっていたか……」。眠れぬ一夜を過ごした人たちは安堵と疲労の表情を浮かべた。空港の閉鎖は長期化する恐れがあり、帰国を控えた訪日客にも困惑が広がった。

フェリーで神戸空港近くの乗船場に到着した関西国際空港に取り残された人たち(5日午前、神戸市中央区)

フェリーで神戸空港近くの乗船場に到着した関西国際空港に取り残された人たち(5日午前、神戸市中央区)

 5日午前7時ごろ、関西空港の利用客らを乗せた臨時の高速船が神戸空港の乗船場に到着した。タラップから降りた人たちには笑顔もみられたが一様に疲労の色が濃く、待合室で倒れ込むように眠る人もいた。

 神戸市の大学に通う宮本麻央さん(20)はカナダに渡航するため4日午前8時ごろに関西空港に到着し、第1ターミナルの出発ロビーで同日夜の便を待っていた。高潮が空港に来襲したとみられる同日午後に周囲の一部が停電。構内のアナウンスも聞こえなくなった。スマートフォン(スマホ)の接続が安定せず「何が起きたのか全く分からなかった」。

 スマホがつながり、タンカーの衝突や滑走路の冠水を知ったのは同日夕。ロビーは利用客らでごった返し、空港職員が拡声器を使って案内していたが、詳しい状況は分からなかったという。不安を感じながら、椅子に座ったまま一夜を明かした。「大きな混乱はなかったが疲れ果てた」と声を落とした。

 2歳の孫らとロビーで丸1日立ち往生した滋賀県東近江市の中島稔さん(61)は「食料がなく、孫の体調も心配だった」と振り返る。空港内のコンビニに1時間以上並んだが買えたのは飲み物だけ。孫は空港から配られた乾パンをかじったが「おなかすいた」と繰り返した。空調が止まり蒸し暑い状態で「ようやく出られた」とほっとした様子だった。

 帰国予定だった訪日外国人旅行客にも不安や戸惑いが広がった。

 「始発から全線で運転を見合わせます」。関空への特急が出る南海なんば駅では5日午前、英語や中国語などの4カ国語で運休の知らせが張り出された。友人2人と旅行で訪れていたタイ人の女子大学生(22)は「延泊するためホテルに予約の電話をしているが、満室で断られている」と途方に暮れていた。

 「明日から仕事で大事な商談が控えている。なんとしてでも帰国したい」。同日午後の便で中国・北京に帰る予定だった中国人の会社員、ファン・シュウさん(39)は羽田空港発の航空券を急きょ購入。新幹線に乗るためJR新大阪駅に向かった。

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