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産業ロボ大手、東南アに的 ABBやクーカが拠点
2016-05-25 09:17:55   From:日本経済新聞   コメント:0 クリック:

   スイスのABBなど産業用ロボットの世界大手が東南アジア市場の開拓を急ぐ。ABBは昨年、タイ・バンコクに実機を展示する拠点を設置。独クーカや安川電機などもタイやベトナムなどで販売網づくりに着手した。人件費の上昇で製造現場でロボット導入機運が高まっていることが背景だ。中国に次いで東南アにも押し寄せる「自動化の波」。人海戦術に頼ってきた現地製造業の高度化につながりそうだ。

 

タイ・サミット子会社の二輪車部品工場では人とロボットが協業する(バンコク郊外)

タイ・サミット子会社の二輪車部品工場では人とロボットが協業する(バンコク郊外)

 小さな硬貨を器用につまんで仕分けする。20センチメートル四方の箱をひょいと持ち上げて別の場所に移す――。現地企業や住友電工など日系企業が進出するバンコク郊外のバンプー工業団地。ABBが昨年11月に開設した「アプリケーションセンター」では5台のロボットが自慢の動きを披露する。

 初めてロボットを使う顧客も少なくない。そこでABBはロボットを効率よく動かすためのソフトウエアや、ロボットを組み込んだ生産システムの開発を支援する。「現地企業はロボットへの関心を高めている」。現地事業を統括するチャイヨット・ピヤワンナラット氏は手応えを口にする。

 ロボット各社が東南ア市場に照準を合わせる。ファナックはタイ、マレーシアなど東南ア6カ国に販売・サービス拠点を構え、独クーカもタイに続き、ベトナムでの拠点開設を計画する。安川電機は昨年10月に数億円を投じて実機展示の「ロボットセンタ」をバンコク郊外に新設した。

 昨年8月にタイに実機の実演施設を設けたオムロンは約50人の技術者が、顧客にロボットを活用した自動化ラインの構築を提案する。施設の稼働後半年の商談数は前年同期比2.2倍。同社はミャンマーやカンボジアでも販売代理店網を築く。

 ロボット各社が東南アに目を向けるのは中国と同様に現地での人件費の上昇が続いているためだ。タイでの労働者への企業の実負担額は1人当たり年間約70万円。ロボットの価格は性能や種類にもよるが、溶接ロボットでざっと1台500万円。7人分の仕事を1台に任せれば約1年で投資が回収できる計算だ。

 

 

 自動車部品大手タイ・サミット・グループ傘下のタイ・サミット・ゴールドプレス。「以前はこの工程で12人が働いていたが、3台のロボットを導入したことで作業員は6人まで減った」。バンコク郊外で二輪車部品を製造する工場の責任者、エッガシット・サクンルアンシー氏が明かす。同社は約180台のロボットを溶接工程で導入済みだが、年内に200台に増やす計画という。

 タイでは少子高齢化もロボット導入を促す。「離職されたら生産を維持できない」。自動車部品メーカーのアンパス・インダストリーズ幹部はため息をつく。同社は6月、小物部品の塗装ラインに2台のロボットを導入し、作業員を10人から2人に減らす予定だ。

 品質向上への期待も高い。「塗装ロボットを使えば、色むらがなくなる」とはアンパス社幹部。サミット・ゴールドプレスのエッガシット氏は「人は100個あたり1個の割合で失敗するが、ロボットは100万個に1個のペース」と話す。

 ロボット導入で付加価値の高いものづくりを目指す――。日本や中国の製造業がたどってきた道を東南アジア各国も歩み始めた。国際ロボット連盟(IFR)によれば、タイの産業用ロボットの稼働台数は15年に2万7900台の見込み。新規導入の拡大で18年には4万1600台に増え、3万台前後のフランスやスペインを抜く見通しだ。

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