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メール問題、本選に暗雲 「クリントン氏は違反」国務省報告 FBI、近く事情聴取
2016-05-27 09:16:58   From:日本経済新聞   コメント:0 クリック:

【ワシントン=川合智之】米大統領選の民主党候補指名が濃厚なヒラリー・クリントン前米国務長官(68)の行く手に暗雲が垂れ込めている。長官時代に公務で私用メールを使っていた問題で国務省が規則違反を指摘。米連邦捜査局(FBI)も近く聴取する方針で、イメージ悪化が一段と深刻になっている。バーニー・サンダース上院議員(74)との予備選決着が長引き、共和党のドナルド・トランプ氏(69)には支持率で逆転を許した。11月の本選へ不安が増している。

 国務省の監察総監室が26日公表した83ページの報告書で「クリントン氏は退任前に国務省の業務に関する全メールを提出すべきだった」と規則違反を指摘した。報告書は議会にも提出した。

 この問題は予備選開始前の2015年3月に発覚した。同氏は長官在任中、自宅に設置したサーバーを使って私用メールを送受信し、公務情報をやり取りしていた。当時の国務省の規則では、情報漏洩を防ぐため私用メールの利用には手続きが必要だった。

 同氏は私用メールの許可は得たと主張してきたが、報告書は「承認を求めた形跡はなかった」と結論づけた。

 クリントン氏は同省の聞き取り調査にも応じなかった。歴代長官のオルブライト、パウエル、ライスの各氏は聴取に応じており、クリントン氏は問題を軽視していた節がある。「身内」のはずの国務省からの思わぬ批判で、信頼がさらに低下するのは避けられない。

 現在のクリントン氏は国務省とは無関係で、上院議員でもない。このため今回指摘された規則違反によって問責されることなどはないとみられるが、有権者に与えるマイナスイメージは深刻だ。

 今後はFBIの捜査の行方が焦点となる。FBIはメールに機密情報が含まれていた疑いで捜査中。国務省の調査で機密情報に相当する内容があったことはすでに判明しているが、クリントン氏は「メール送信時は機密指定されていなかった」と主張している。

 FBIは近くクリントン氏を事情聴取する方針。仮に機密漏洩の罪で起訴される事態に発展すれば、大統領選には致命的な打撃となる。

 当初は圧倒的な支持率を誇ったクリントン氏だが、メール問題の表面化以降はじわりと低下。「民主社会主義者」を自称し、若者らを味方につけるサンダース氏に予想外の健闘を許す。予備選の獲得代議員数では大きくリードし、サンダース氏の逆転はほぼ不可能な情勢。それでも苦戦の印象が響き、クリントン氏の支持率は過去1週間で約4ポイント急落した。

 クリントン氏はサンダース氏が求めた米FOXニュースのカリフォルニア州でのテレビ討論会への出席を断り、「有権者と直接対話することに時間を使う」と語った。08年大統領選の指名争いでオバマ氏に敗れた反省を生かし、市民に身近さをアピールできる少人数の対話集会を中心に活路を見いだす構えだ。


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