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米シェール増産へ 大手が計画を上方修正 原油価格に下押し圧力
2016-08-15 11:36:14   From:日本経済新聞社   コメント:0 クリック:

米原油生産全体の減少ペースも鈍化しており、持ち直してきた原油価格の押し下げ圧力となりそうだ。
【ニューヨーク=稲井創一】米シェール大手が相次ぎ生産計画を引き上げている。主要10社のうち、EOGリソーシズやコンチネンタル・リソーシズなど6社が2016年の原油・天然ガス生産計画を上方修正した。生産性向上でコストが下がったためだ。米原油生産全体の減少ペースも鈍化しており、持ち直してきた原油価格の押し下げ圧力となりそうだ。
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 「米国での原油生産を2%増やす」。EOGのビル・トーマス最高経営責任者(CEO)は5日の16年4~6月期決算会見で、天然ガスを含む16年の生産計画を日量55万1500バレルと従来計画より1000バレル強引き上げた。生産性の向上で投資を増やすことなく増産できるという。

 EOGは掘削日数などを短縮するなどして、テキサス州パーミアン地区で1つの油井を完成するのにかかるコストを2年前より4割少ない670万ドル(約6億8千万円)に削減。一般に40~70ドルとされる採算ラインを平均1バレル30ドルに抑えた。16年は追加投資せずに掘削する油井を計250本と計画より50本増やす。

 コンチネンタルも年間生産計画を2%増やし日量最大22万バレルとした。「目覚ましいコスト改善が現場で進んでいる」という。パイオニア・ナチュラル・リソーシズ、ノーブル・エナジー、オアシス・ペトロリアム、チェサピーク・エナジーも、7月末以降の4~6月期決算発表で年間生産計画を数%引き上げた。

 シェール企業は原油が30ドル台に下落した昨年末以降、掘削活動をほぼ停止。今年2月には倒産が相次いだ。エネルギー問題の権威、ダニエル・ヤーギン氏は「シェール企業は冬の時期を乗り越えた」と指摘する。

 石油サービス大手ベーカー・ヒューズによると、リグと呼ばれる石油掘削設備の稼働数は5月27日時点の316基を底に、直近の8月12日では396基まで回復した。前年同期に比べ半分の水準だが、増加は7週連続となる。

 各社が生産再開に乗り出したのは、コスト低下に加え、業績が改善したことが大きい。10社合計の16年4~6月期の最終損益は52億ドルの赤字(前年同期は92億ドルの赤字)で、2四半期連続で赤字幅が縮小。鉱区の減損処理も大幅に減少した。「生産拡大に向けて財務の柔軟性が増した」(ノーブルのデーブ・ストバーCEO)

 米原油生産の約5割を占めるシェールオイルの生産が活発化し、米国全体の減産ペースも鈍化してきた。米エネルギー情報局(EIA)によると、7月に入り米原油生産は3週連続で増加。9日には16年の生産見通しを日量873万バレルと7月から同12万バレル引き上げた。世界の原油需給が緩めば、再び収益環境が厳しくなる可能性もある。

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