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重圧受けるメルケル独首相が引退決意、欧州は巨大な試練に直面
2018-11-03 14:34:44   From:cri   コメント:0 クリック:

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 ドイツのメルケル首相が先日、与党キリスト教民主同盟(CDU)の党首を年末に退き、2021年の首相任期満了を以て政界から引退する考えを明らかにした。このニュースは世界に衝撃を与え、独メディアは「メルケル氏の決定は一つの時代の終わりを示した」との論評を寄せた。

 数えてみると、ドイツの「鉄の女」の名を持つメルケル氏はCDU党首を18年、首相を13年務めている。ドイツのリーダーとして欧州を動かし、幾多の危機に対応してきた同氏は、現代の欧州ひいては世界の政界でも傑出した女性政治家との評価を受ける。仏紙ル・モンドは「メルケル氏の謙遜、現実直視、人々を尊重する風格は昨今の世界の指導者には稀なもの」と伝えた。

 欧州連合(EU)の指導者であるメルケル氏は強靭さで知られるが、最後は圧力に耐えきれず、段階的に政界から身を引くことを決めた。まさに欧州の政治状況の深刻な悪化による産物だ。

 第一に、米国と欧州の間の矛盾は相手の立ち位置が分からなくなるほど激しさを増し、欧州にとっては対応が極めて難しい状況となっている。トランプ米大統領の「アメリカファースト」政策は欧州のグローバル・ガバナンスの段取りをかき乱すだけでなく、欧州の経済、政治ひいては安全保障の脅威を形作った。米国は欧州に貿易戦争を仕掛けた上、矛先をドイツ、さらにはメルケル氏本人に向けた。そして、米国は最近、「中距離核戦力全廃条約」の破棄で、冷戦時代に米ソの核兵器開発競争で欧州が犠牲になるというあの悪夢を再現しようとしている。米国は盟友を動員し、欧州でロシアとの戦争に向けた準備を大幅に強化して欧州の安全情勢を悪化させた。米国の政治家はベルギー・ブリュッセルに出向き、集めた欧州の右翼勢力を鼓舞してEUの団結を破壊したのだ。

 第二に、欧州内部には難民、ユーロ圏改革、英国のEU離脱など多くの難題が存在する。過激思想やポピュリズムが幅を利かせ、イタリアなどでは政権を握って常にEUの政策に戦いを挑んでいる。ハンガリー、ポーランドを中心とする中東欧は離反傾向を示し、これによってドイツのリーダーとしての地位に疑問の目が向けられるようになった。ポーランドとギリシャはドイツに対する戦後賠償請求権を保留にまでしているのだ。

 これと同時に、独国内の人々のディグローバリゼーション感情は高まっている。彼らは自身の利益により重きを置き、伝統的な政治に煩わしさを感じ、枠を超えた難民受け入れや社会福祉政策、環境保護政策などへの不満を募らせている。各政党は自身の競争力にいっそう釘付けとなり、し烈な競争は社会の分断の深刻化を招いた。連立与党のCDUとキリスト教社会同盟(CSU)との間、そしてCDU内部からも不協和音が聞こえる。

 さまざまな重圧が折り重なる中、メルケル氏は最終的に引退を決めた。現在、数人の競争相手が後継者の座を狙っているが、彼らの威信、コントロール力を同氏と比べるのは難しい。ドイツはこの「大黒柱」「精神安定剤」を失うことになり、同国はこれまでにない政局の不確定さに直面する。欧州全体がこれに深い憂慮を抱き、世論はメルケル氏の政界引退を「欧州が不利な環境にある中で、欧州に不利な決定を下した」と評した。

 一体化の試練に直面していたEUは米国による侵略的な強さの一国主義の襲撃を受け、いっそうの苦境に立たされることになった。世界の政治構造で大きな影響力を持つ一極として、欧州は債務危機に続き、再び巨大な試練を迎えることになる。欧州がどう対応し、どのような成果を得るのか―。国際情勢が変化する中で、極めて注目に値すると言えよう。(CRI特約論説員、中国国際問題研究院研究員 邢驊)

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