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“アゲメン”福田雄一監督、俳優の魅力を開眼させる演出の妙
2016-11-08 12:06:07   From:オリコン   コメント:0 クリック:

監督・脚本家の福田雄一(48)が引っ張りだこだ。現在放送中のドラマ『勇者ヨシヒコと導かれし七人』(テレビ東京ほか)はシリーズ第3弾を迎え、来年1月期には堤真一主演のドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)がスタート。来年公開となる映画にも『銀魂』、『斉木楠雄のΨ難』と話題作が控えている。福田作品はシュールかつユニークで、マッタリと笑いながら見れるのが魅力。また、映画『HK 変態仮面』の鈴木亮平や清水富美加、ドラマ『アオイホノオ』の柳楽優弥、『勇者ヨシヒコ』シリーズの山田孝之やムロツヨシ、木南晴夏など、新たな魅力を開花させたり、倍増させたりすることでブレイク&再評価へと導く“アゲメン”な存在としても知られている。

 福田がモノ作りを始めたのは、さかのぼること小学生時代。福田少年は、学校で開催されていた“お楽しみ会”で台本を書き、クラスのメンバーと共にオリジナルのコントを披露していたという。それは中学に上がってからも教師から「全校生徒の前でコントをしてくれ」と依頼されるほどに人気だったが、同じ頃、ゴルフに夢中になりプロゴルファーを夢見るように。しかし、経済面などの障壁が立ちふさがって挫折。ノイローゼ気味になって引きこもりかけたそうだが、その時にテレビで“小劇場がブーム”というニュースを見て、少年時代がフラッシュバックしたことで、在学していた成城大学の演劇部に入部する。これが、福田主催の劇団ブラボーカンパニーの旗揚げにもつながっていく。

 その劇団ブラボーカンパニーでは、全作品の構成・演出を担当。舞台を手掛ける傍ら、フリーの放送作家として『笑っていいとも!』(フジテレビ系)や『いきなり!黄金伝説』、『堂本剛の正直しんどい』(共にテレビ朝日系)といった人気バラエティに携わり、その後、ドラマや映画にも関わることに。一歩ずつキャリアを積み、深夜ドラマや映画になくてはならない、売れっ子監督・脚本家へと成長していったのだ。

◆“一緒にみこしを担ぐ”ような自由度の高い演出が、俳優の新たな扉を開く

 福田の代表作と言えば、堂本剛主演のドラマ『33分探偵』をはじめ、小栗旬主演の『東京DOGS』(共にフジテレビ系)、市原隼人主演の『猿ロック』(日本テレビ系)、鈴木福主演で映画化もされた『コドモ警察』(TBS系)、現在放送中の『勇者ヨシヒコ』シリーズ。映画も『HK 変態仮面』、『薔薇色のブー子』など、話題作が並ぶ。

 『33分探偵』では、佐藤二朗の“挙動不審キャラ”をそのまま活かした演出をし、『勇者ヨシヒコ』ではそれまで知る人ぞ知る俳優であったムロツヨシを輩出。『アオイホノオ』では柳楽優弥の新たな魅力を見出し“カンヌの呪縛”から開放するなど、それぞれが再評価&ブレイクを果たした。中でも『HK 変態仮面』の鈴木亮平は強烈で、鍛え上げられた肉体美はもちろん、「映像化不可能」とまで言われた原作の放送コードギリギリのお下劣ギャグを、鈴木に徹底的かつ忠実に表現させ、原作ファンからは拍手喝さい。その後、鈴木はNHK朝ドラ『花子とアン』に出演し、前作とのギャップも注目を集め一躍“時の人”となった。

 「福田さんはそもそも、『自由』と『役者』という人種が好きなんです。福田さんは一緒にみこしを担ぐ感覚で、役者にとって自由度の高い演出をされていますが、これは役者とそのセンスを相当に信用していないと出来ないこと。また、面白さの追求にも貪欲で、その象徴的な存在なのが『33分探偵』の佐藤二朗さん。佐藤さんの“噛み芸”はヘタすれば一発でNGになりかねませんが、福田さんはそれが面白いと作品内で“神芸”とし、むしろその芝居に専念させました」(テレビ誌記者)

◆徹底したコメディ志向、いい意味で“学生のお楽しみ会”的な雰囲気が功を奏す

 福田作品は、予測不可能かつ予定調和のない世界観も魅力。コントとドラマの境界線が曖昧な作品はこれまでも堤幸彦の『トリック』シリーズや、三木聡や園子温らが手掛けた『時効警察』(共にテレビ朝日系)にも見られた手法だが、福田はシリアスやスペクタクル、アート色の強い方向性へ進むのではなく、徹底的にコメディを追求している点が特長的だ。

 「福田さんはバラエティ放送作家時代に築いた笑いのセンスを活かしているほか、『空飛ぶモンティ・パイソン』など大好きな海外ドラマや映画などを良くも悪くも“恥ずかしげもなく”パロディ化してシーンや手法に取り入れている。この“恥ずかしげもなく”は、オリジナル原理主義で萎縮してしまうよりも遥かに“自由”で、枠を飛び越えた面白さを生む可能性がある。『勇者ヨシヒコ』シリーズも“人気RPG風”というユルさ、低予算を逆手に取った演出が絶妙です。プロの世界ではありますが、いい意味で“学生のお楽しみ会”的な雰囲気もありますよね。その空気感も面白い作品が生まれる秘密なのかもしれません」(同記者)

 深夜ドラマに過激さやエロスではなく、あえて親子で楽しめるような極上のコメディを持ってくるといった“逆転の発想”で次々とヒットを飛ばしている福田雄一。自由を愛する人であるが故に、メジャーシーンでこれだけ注目されてしまうと少し窮屈かもしれないが、そのメジャーシーンで今後どれだけヒットを飛ばし続けることができるか?真価が問われるのはこれからなのかもしれない。

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