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陳淑梅さんと重松なほさんが『中国人の価値観』で対談(Ⅰ)
2016-05-28 15:20:22   From:篠原功   コメント:0 クリック:

㈱日本僑報社からこのほど『中国人の価値観』という書籍が出版された。その刊行記念講演会が5月27日午後7時から東京・八重洲ブックセンタ―で開催された。その第一弾だ。
  

右が重松なほさん、左が陳淑梅さん

陳淑梅さんと重松なほさんが『中国人の価値観』で対談(Ⅰ)
 
知られざる中国人の価値観との出会いで目から鱗
「刊行記念講演会」大盛況、終了後はサイン会も
 
 お隣の国・中国――距離的には近いが、日本人から見ると何とも不思議な価値観が息づいている。昨今、日本在住の中国人も増加し、日本に多くの中国人観光客が押し寄せるようになった。日本人と中国人の交流が深まるにつれ、中国人は日本人と大きく異なった価値観で生きていることが明らかになってきた。いま日本で最も関心があるのが中国人の価値観だろう。そんなおり、㈱日本僑報社から『中国人の価値観』という本が出版された。著者は法学博士、北京大学教授の宇文利氏で、訳者は日中翻訳学院の重松なほさん。そこで八重洲ブックセンターは、5月27日午後7時から同センターで刊行記念講演会(協賛:日本僑報社)を開催した。講演会は重松さんと、テレビやラジオで中国語の講師を務めてきた陳淑梅さんの対談形式で行われた。その第一弾だ。
 
◆天命観捨て、自分の意志に従って生きる
 
 『中国人の価値観』は「古代から現代までの中国人を把握する」「…かつて『礼節の国』と呼ばれた中国に何が起こったのか?」「今の中国人の価値観がわかる!国際化する日本のための必須知識」――と副題がついており、早くも話題の書として注目を集めている。対談で重松さんは「最近、中国の価値観が変わってきたなかで、昔の価値観を見直すという方向にあるが…」と言えば、陳さんは「生存の価値観では、かつては天命観が重視された。生まれてきて、その後の努力も含めて天命観が支配的だったが、そのようなものと離れ、今は独立して生きるのが現代の価値観だ。そこから海外で自由に活動することが盛んになってきた」と語った。
 陳さんは1986年に来日した。「1980年代後半の中国人はまだ天命を信じていた。良い天命の人はそのまま信じる。しかし、悪い天命の人は、その天命と戦って道を開くという努力をした。現代の中国人は天命のまま人生を終えることに拒絶感があり、自分の意志に従って生きている」と陳さん。
 重松さんが「陳先生は自ら欲する道を進んだ。理想的な道を探した。なぜアメリカでなくて日本?」と聞けば、陳さんは「当時は日中友好の良き時代で、日本語の習得を視野に置いていた。当時は日本在住の中国人が少なく、中国人は日本人に大変良くしてもらった」と語った。
 重松さんが「移動して住むことに抵抗感はなかった?」と聞くと「日本が中国より悪かったら戻るつもりだった。生活レベルの豊かさだけはない。日本では自分のやりたいことが簡単につかめた。そんなに頑張らなくても誰かが必ず手を差し伸べてくれた。中国では誰も関心を持ってくれない。その点、日本で生きていくのは楽だった」と日本に定住した理由を語った。
 
◆中学生の頃、文革の洗礼受けて方向失う
 
 重松さんは「陳さんが小学生の時に文革が始まり、いきなり図工や美術の科目がなくなったそうですね」と聞くと、陳さんは「今から50年前に文革が始まり、当時、小学生だった私の教科書は冬休みを挟んで大幅に変わった。普通の勉強がなくなり、毛沢東や革命の礼賛ばかり。子供たちは勉強せず、歌を歌ってばかりいた」と振り返った。
 さらに陳さんは「孔子は勉強が優秀なら官僚になれると言った。したがって昔、両親は子供に勉強をやらせようとした。しかし、官僚ばかりでは誰が労働者になるのかという声が大きくなり、毎日どうしたらいいのかわからなくなった」と語った。
 「文革時代、紅衛兵が注目された。毛沢東の衛兵だ。この紅衛兵になれるのは中学生から。しかし、紅衛兵になれる人となれない人がいた。勉強ができるから紅衛兵になれるわけではなかった。親が知識人、資本家の家庭の中学生は紅衛兵になれなかった。毛沢東を支持する親の子どもは紅衛兵になれた。革命的な家庭の良い子が紅衛兵になれた。だから紅衛兵になれないのは恥ずかしかった。いまはなったことが恥ずかしいといわれる」と語った。
 重松さんは「政治的価値観では、中国は家と国家を分けて考えていない?」と質問すると、陳さんは「国家は国と家のことをいう。小さい家があり大きい家がある。小さい家がしっかりしていると、大きい家もしっかりするという考えだった」と説明。
 重松さんが「中国では家族の繋がりを重視する。家族の関係が良ければ、それが国家を支えることに繋がる」と言えば、陳さんは「最近、中国人の『爆買い』が注目を集めているが、『爆買い』したものは家族・親戚に配っている。中国で隣人と喧嘩したとなれば、日本は警察の出番だが、中国では親戚が駆け付け、応援する。駆け付けた親戚の数が多い方が『勝ち』ということになる。そんな光景も都内ではだんだん少なくなってきたが、田舎では時々見られる」と語り、会場の笑いを誘った。(続く)
 

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