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ALEXANDER&SUN代表取締役の鄒積人氏に聞く、急成長を促した「経営戦略」
2016-07-12 17:31:49   From:篠原功   コメント:0 クリック:

 ALEXANDER&SUN(アレキサンダー・アンド・サン)の若きエース・鄒積人代表取締役に急成長を成し遂げた経営戦略を聞く。


鄒積人代表取締役

 ALEXANDER&SUN代表取締役の鄒積人氏に聞く、急成長を促した「経営戦略」
 
26歳で両親から事業を継承、14年足らずで一大観光企業へ
免税店が全国に11店舗、良質な「Made in Japan」を提供
 
 中国人観光客の「爆買い」が話題になっているが、その「爆買い」の推進力の一翼を担っているのが免税店だ。ALEXANDER&SUN(アレキサンダー・アンド・サン代表取締役:鄒積人)は北海道から沖縄まで多くの免税店を展開し、観光客に優れた「Made in Japan」を提供してきた。さらに観光バス事業、観光ホテル事業、自動車販売代理事業へと事業を拡大、いまや社員500人を擁する一大観光企業へと成長させた。若干26歳で両親からビジネスを継承し、わずか14年足らずで事業を大きく拡大させた若きエースはどのような人物か。また、どのような経営戦略でビジネスを展開しているのか。
 
◆多くの協力者に助けられて今日が
 鄒社長の両親は台湾から日本に来て会社を経営していた。海外から日本へ観光にやってくる観光客にお土産を売る会社で、ビジネスは順調に発展してきた。2002年、若干26歳で両親から店舗の一部(札幌)を引き継いだ。その後、各地にあった他の店舗を吸収する一方、新たに店舗を設置し、免税店ビジネスに拍車をかけた。
 当時、日本経済はバブル経済が崩壊した後だが、やがて小泉構造改革などにより、景気も上向き、また円安誘導策などが功を奏して経済も回復基調で推移してきた。「当時、日本にやってきたのは富裕層ばかりでしたね。当初、韓国からの観光客が大半でしたが、5,6年前から中国人観光客が多くなりました」と鄒社長。
 まず、中核ビジネスの免税店から見ていこう。前述したように2002年に、北海道の店舗を継承した後、次々と店舗を吸収すると同時に、新規に店舗を構えるなどして、全国の主要観光地に免税店事業を展開、アレキサンダーの存在感を大いに誇示してきた。
 現在、店舗は、札幌、東京、名古屋、大阪、福岡、大宰府、大分別府、熊本、有田、沖縄、宮古島と11店舗に上る。鄒社長は、この14年間を振り返り「少しずつでも大きくすることができて良かったです。たくさんの協力者に助けられたからです」と語った。なお、現在、同社の免税店の買物客は年間150万人に上るという。
◆攻めの経営で幾度も危機を乗り越える
 とはいってもこの14年間の道のりは決して平たんではなかった。観光事業は経済危機、政治動向、通貨変動、大災害などの影響をダイレクトに受ける。特に2011年3月11日に東北一帯を襲った東北大震災。この震災では津波が沿岸一帯を襲い、さらに福島第一原発が未曽有の事故を引き起こした。
 「とにかくこの大震災が起きてから海外からのお客さんがゼロになりました。いきなりゼロですから、その影響の大きさがご理解できると思いますが、社員200人の仕事が全くなくなり、経費だけが出ていく状態です」と鄒社長。
 この危機的状況を乗り切るために、鄒社長はどのような手を打ったのか。まず「日本は安全で安心だ」という発信をこれまで以上に強める傍らで、大胆な戦略に打って出た。「赤字覚悟の徹底した格安ツアーを商品化して観光客に『とにかく来てほしい』『日本に来たら理解できる』――と発信を続け、繋げることに全力を注ぎました。その結果、日本は以前と変わらず安全・安心だ。大丈夫だという認識が広まり、多くの観光客に来ていただけるようになりました」という。




賑わう免税店

◆観光バス事業に乗り出し、サービス向上
 この大胆な発想の転換はどのようにして培ったのか。それを探るために両親から事業の一部を引き継ぐ前の10代から20代前半の過ごし方について聞いてみた。鄒社長は中学・高校・大学は「 L.A. 」に留学して学んだ。その結果、「物事を客観的に観れるようになりましたね。引いて観ることで、さまざまな考え方があるということも理解できるようになりました。そのような発想に立って物事を決めることは大切だと思います」と鄒社長。
 免税店事業をベースに鄒社長は、2006年頃から、新たな事業戦略に打って出た。観光バス事業に乗り出したのだ。鄒社長は「当時、海外の観光客を運ぶ一部のバス会社はサービスが悪く、その実態は目に余るようなものでした。この状態を正常化しよう。日本に観光に来た外国人に快適で、良き思い出をたくさん作ってあげられるようにしたいというのがきっかけでした」という。
 まず、ドライバーを正規に採用してマナー・サービス教育を徹底し、サービスの向上に努めた。さらに当時、コスト低減のために古い車両を走らせていた会社が多かったが、鄒社長は新車を導入し、観光客に安心・安全・快適に乗ってもらうよう配慮した。
 やがてこうした努力が旅行会社に評価されるようになり、鄒社長のバス会社を「ぜひ使いたい」という声になって具体化してきた。当然、満足度が高くなればリピーターも増え、引く手あまたといった状態になった。
 バス事業を手掛けた当時、保有バス20台、ドライバー25人ほどだったが、今や保有バス115台、ドライバー130人の大所帯でバス事業を運営するまでになった。なお、同社のバス利用者は年間30万人を超えるという。
◆恵まれない子どもを支援、恩返しを
 さらに、この関連事業として2008年から韓国最大手の自動車メーカー・現代自動車の販売代理業も手掛けている。また、2013年からはホテル事業も展開。現在、ホテルアレキサンダー・南箱根、同・山中湖、同・沖縄と3ホテルを展開し、観光客に質の高いサービスを提供している。
 鄒社長は「これからもサービスの質を上げて、お客様満足度を上げていきます。今後、個人旅行が増えてきます。この会社を利用したいというリピーターが増えるようにグループ挙げて努力していきます。特に近年、増加の一途をたどっている中国人観光客向けに日本の質の高い商品を提供していきたいと考えています」と強調した。
  鄒社長は最近、特に多くの中国人観光客が買い物をしてくれて事業が大きくなったことで、「中国に具体的に恩返しをしたい」と思うようになった。中国への信頼できるルートを持っている組織や企業を探していたところ、NPO法人東方文化交流協会の高山英子理事長と知り合うことができた。高山理事長も「ぜひ力になりたい!」と即断即決。中国の恵まれない子どもたちを支援することになった。
 先般、雲南省の少数民族の小学校を視察、政府・学校関係者と今後の支援策を話し合った。鄒社長は「子供たちはこれからの世界を担う希望の星。恵まれない子どもたちや、何らかの支援を必要としている子どもたちをぜひ応援したい」と語った。
 こうした支援を具体的に実施に移すため、東方文化交流協会に中日青少年支援委員会を設置、委員長に鄒社長が就任した。

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