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日本華人教授会議が国際シンポジウム「大転換期の世界と日中関係」開く
2016-10-12 17:48:57   From:篠原功   コメント:0 クリック:

日本華人教授会議は、10月10日、午後1時から東京大学本郷キャンパス山上会館で第13次年次国際シンポジウム「大転換期の世界と日中関係」を開催した。


シンポジウム会場


中国駐日本大使館公使参事官の薛剣氏


筑波大学名誉教授の進藤榮一氏
  
日本華人教授会議
 
第13次年次国際シンポジウム「大転換期の世界と日中関係」開く
 
 日本華人教授会議は、10月10日、午後1時から東京大学本郷キャンパス山上会館で第13次年次国際シンポジウム「大転換期の世界と日中関係」を開催した。大学の教授、研究者、専門家が一堂に会し、大転換期に直面している世界の中で日中関係はどうあるべきか、徹底討論を行った。
 
◆公使参事官の薛剣氏が中日首脳会談の合意を実行に
 
 2016年は、イギリスのEU離脱、米国の大統領選挙、南シナ海での確執、台湾の政権交代、日本の参議院選挙、さらにG7、G20の開催等々があった。その意味で激動の1年と記憶されるだろうと日本華人教授会議は概観した。こうした流れの中で、日中関係と米中関係はどこへ向かうのか。摩擦と協調が交錯する中で将来を展望することが可能なのか。日本華人教授会議は、第一線で活躍する研究者や専門家による活発な討論会を開催した。
 最初、李春利日本華人教授会議元代表が開会の挨拶を行った。李氏は、同会議の今年1年間の活動を振り返るとともに、「私個人は日米・日中関係に注目している。特に大統領選挙の行方は今後の日中関係に大きな影響を与える。強い関心を持っている」と述べた。
 この後、中国側の来賓を代表して中国駐日本大使館公使参事官の薛剣氏が挨拶した。薛氏は、日本華人教授会議がさまざまな活動によって日本の各界との交流発展を推進、中国の発展、中日友好交流に積極的な役割を果たしてきたと述べ、「シンポジウムを通じて専門家、研究者は中日両国の相互理解・安定発展で貴重な提言を出していただいた」と敬意を表した。
 また、グローバル化が進展、国と国との相互依存、利益の融合が進み、どの国も単独でチャンスを守ることができなくなっているとし、助け合い、ウィンウィンの関係が求められると語った。そのうえで「第二、第三の経済体、あるいは大国はアジア、世界に対して重要な責任感があるとし、相手を正しく認知し、安定的かつ冷静に判断をすべき。中国の実情を正しく受け止めることを期待したい」と強調した。
 
◆「対話を通じて小異残して大同につくべき」
 
 また、薛氏は、中国は現在、激しく変化しており、世界に大きな影響を与えているとし、中国の実情を正しく見るべきだ。中国は中日関係だけでなく、世界情勢の判断に影響を与えている。この日本華人教授会議のテーマ「大転換期にある世界と日中関係」はまさに時宜を得たものであり、創造的発展の中日関係へと発展させ、緊密なパートナーシップを構築すべきと語った。
 さらに「中国は決して脅威にはならない。平和を支持する。指導者間の政治的合意を創造的、互恵ウィンウィンの道へと導くことが重要。中国は中日関係を重視、関係改善への考えに変わりない」とし、先般、習・安倍の両首脳間で確認した合意内容を着実に実践すべだと強調した。
 そのために薛氏は、実務協力を強化して足し算を多くすべきだとし、「一帯一路」「AIIB」で協力し、互恵ウィンウィンの関係が実現されることを願っている。そのうえで習・安倍の首脳会談で安倍首相は「中国の世界経済への貢献を高く評価したい」と述べ、「AIIB」「ADB(アジア開発銀行)に対して「総合融資を含めて新たな表明があった。安倍首相は明確なメッセージを発信した」と述べた。「こうしたプラットホームを通じて協力すれば、共同利益・地域発展に繋がるだろう」と期待を込めた。
 東海・南海問題については、「係争をコントロールし、大局に着目し、共通認識を重視し、対話を通じて小異を残して大同につくべきだ。協力を通して不測の事態を防ぐことが重要だ」と語った。さらに来年は中日国交正常化45周年、中日平和友好条約調印40周年に当たるとし、「重要な節目をチャンスととらえ、力と知恵を出し合って首脳会談で合意した事柄を実行に移すべきだ。このシンポジウムが懸け橋として突っ込んだ創造的・先見性に富んだご意見をご提示していただくことを期待している」と語った。
 
◆筑波大学名誉教授の進藤榮一氏が世界の転換期を語る
 
 次いで日本側の来賓を代表して筑波大学名誉教授、国際アジア共同体学会会長の進藤榮一氏が挨拶した。進藤氏は、アジアの台頭により、世界は大転換期・大逆転期に直面しているとし、「中国は大きく発展している。『一帯一路』も確実に動いている。もはや日本・イギリス・アメリカだけを世界を見るのではなく、北京またはアジアから俯瞰しなければならない。持続可能な安定した発展をどう作りあげるかが重要だ」と語った。
 さらに「2014年のIMFの統計では、先進G7のGDPは34兆5000億ドル、振興経済圏G7のGDPは37兆8000億ドルとなった。また、中国のGDPが米国のGDPを上回り、日本の5倍になった」と語り、「南北逆転・東西逆転状態の様相を呈しており、資本主義の終焉というより、資本主義の再生という状況にあるとし、ジャンプして新しい市場を作り上げる事態になっている」と分析した。
 また、「21世紀は情報革命である。ネットワークは国を超え、アジアが一つの市場になりつつある。同時に情報革命は歴史の終焉・地理の終焉をもたらしている。例えば一つの車を6ヵ国で作るようになってきた。かつては人口が多いことは貧困の要因だったが、現在は低所得者層が膨大な中間層へと上昇し、活性化をもたらしている」と語った。
 さらに「中国はアジア大陸の広さを背景に西へと外交政策を展開し、陸のシルクロードだけでなく、海のシルクロード構築に動いているし、今や4000年超の世界史の転換期を迎えており、もはや欧米型キャピタルの時代は終わった。変わって上昇するのがアジアである」と強調した。
 ここで世界の鉄鋼・自動車産業の推移を紹介しながら、「西洋の豊かさを東洋の豊かさで包み直す。アジア対日本の関係も大きく変わる」と語った。
 
◆「大転換期の世界へ」テーマに活発な議論
 
 この後、基調講演・第一セッションが行われた。東洋学園大学教授の朱建榮氏の司会で、東洋大学理事長・元通産次官の福川信次氏が「変容する世界構造と日中の対応」というテーマで基調講演を行ない、第一セッション「米中関係:摩擦と協調のはざまで」では、第一報告として同志社大学前学長・教授の村田晃嗣氏が「米中安全保障関係と日本」、第二報告として拓殖大学教授の杜進氏が「貿易と金融の『ルール』を巡る米中のせめぎ合い」と題して報告を行った。
 休憩を挟み、基調講演・第二セッションでは、会津大学副理事長・副学長の程子学氏の司会で国立研究開発機構法人科学技術振興機構特別顧問・元理事長の沖村憲樹氏が「日本を抜いた中国の科学技術」と題して基調講演を行ない、第二セッション第一報告として拓殖大学教授の朱炎氏が「中国経済の行き先と日中経済関係」、長岡技術科学大学教授・日本エネルギー研究所特別研究員の李志東氏が「パリ協定後の中国における低炭素社会の構築と日中協力への示唆」と題して報告を行った。
 さらにこの後、「大転換期の世界へ」というテーマで総合討論を行った。明治学院大学教授の宋立水氏が司会を務め。金堅敏(富士通総研主席研究員)、魏大名(会津大学名誉教授)、周建中〈東京成徳大学教授〉の各氏をパネリストとし、基調講演者及び報告者を討論者として活発な議論を行った。閉会式では千葉商科大学教授の趙軍氏が司会を務め、同大学長の島田晴雄氏がビデオメッセージを寄せた。
 

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