服部幸應・服部栄養専門学校理事長・校長が「食育」で講演
2016-11-16 16:16:47 From:篠原功 コメント:0 クリック:
服部栄養専門学校(東京・渋谷区)の学園祭で、理事長・学校長 服部幸應氏の講演『食育力』が2回にわたって行われた

「食育」を語る服部理事長・学校長
服部幸應・服部栄養専門学校理事長・校長が「食育」で講演
服部栄養専門学校が「食育の底力~届けたい!食の未来~
『地球再生 ゼロからの出発』」をテーマに賑やかに学園祭
学園祭たけなわの11月12、13の両日、服部栄養専門学校(東京・渋谷区)の学園祭が開かれた。「食育の底力~届けたい!食の未来~『地球再生 ゼロからの出発』」をテーマに「観る、得る、味わう」で魅力満載。同学校のOBや一般の人たちが詰め掛け、大変な賑わいとなり、あちこちで行列ができた。なお、同学校理事長・学校長 服部幸應氏の講演『食育力』が2回にわたって行われた。
◆「食育基本計画」第三次5ヵ年計画を実施
服部氏は、29年前から「食育」を提唱し、18年前に政府に「食育」の必要性を提唱した。それを契機に11年前に「食育基本法」が成立・施行された。また、同年、「食育推進会議」及び「食育推進基本計画検討会」が開催され、その後、「食育基本計画」が第一次5ヵ年計画、第二次5ヵ年計画と推進され、平成28年度から第三次5ヵ年計画が実施されている。
服部氏は、「食育基本法」成立まで周囲の反対で紆余曲折があったことを披歴しながら、「安心・安全・健康な食事をすることの必要性を訴え続けてきた。さらに過去に日本人の食事はバランスが取れていた。それを見直そう!」と訴えた。
また、炭水化物ダイエットが流行している現状に対しては、「極端な食べ方はやめたほうが良い」とし、安心・安全・健康な食事の必要性を強調した。さらにかつて子どもたちは祖父母・父母などに囲まれて食事をしていたが、現在は核家族化が80%を占めるようになり、「衣食住の伝承が途切れるという深刻な事態になっている」と指摘した。
次に日本の食料自給率は、大幅に減少していることを具体的に示した。「日本は61%が輸入に頼っている。輸入先は194ヵ国中70ヵ国にも上り、輸入先の6割はアメリカで、残り4割を69ヵ国で賄っている」と語った。
輸入しているものは遺伝子組み換え食品も多く、日本は表示を義務付け、規制を強化しているようにみえるが、実は抜け道があり、新たな対策が求められていると語った。
◆食料自給率低下、日本力の衰退に危機感
また、服部氏は「1960年代に当時の池田内閣が所得倍増計画を打ち出し、10年の達成目標を3年8ヵ月で実現した。皆頑張ったから実現できた。皆捨て身になってやった」と振り返った。
しかし、農業従事者・漁業従事者が工業従事者に移動し、大幅に減少したことを指摘。さらに「国が豊かになった反面、環境汚染も進んだ。近年、GDPが下がり、同時に農業従事者・漁業従事者の高齢化が深刻になっている。それが自給率低下に拍車をかけている」と指摘。安心・安全・健康、さらに食料問題が危機に瀕しているとし、「すでに70ヵ国が日本に食料を輸出しないと言い出している。日本は今後80年すると人口が半減する。日本が力を失っていくことを心配している」と危機感を募らせた。

コック姿で学園祭をPRする学生たち

華やぐ会場入り口

賑わう会場
◆「食育」を家庭・学校教育で着実に実践を
また、服部氏が「食育」の重要性に気付いたのは、サンフランシスコの避暑地で害虫を駆除するためにDDTを使用、それによって環境破壊が進み、それが連鎖的に拡大したことに端を発しているとした。
さらに子育ての在り方にも言及。子どもと真剣に付き合っていかなければ、さまざまな社会問題を引き起こす要因になっていると指摘した。また、そのことを親も気付いていないとし、「140年前にイギリスでニートが増えた。その数は180万人もなった。子供を学校に行かせず、家に置いておいたからだ。45年前、サッチャー首相がそのことに気付き、家族団らんの食事を義務付け、学校に行かせた。その結果、ニートは20分の1に減少した」と語った。
さらに小学生にアンケート調査すると「お袋の味」の定義が壊れてしまっていることが判明したという。服部氏は「核家族化は増加する一方。親の責任としてしっかり考えることが必要。昔の格言に幼い頃には100匹の魚を与えるより、釣り針と釣り糸の使い方を教えろというものがある。しかし、さらに学校では釣り針と釣り糸の作り方を教えなければならない」と提言した。
服部氏は、「第三次5ヵ年計画が4月から動き出している。この計画では21の目標を立てているが、特に地場の食料を重視し、塩分や糖分を減らすことに力を入れている。そして適度な炭水化物を摂る。この運動にぜひご協力いただきたい」と結んだ。
◆錚々たる一流講師の「料理講習会」が人気
学園祭では、模擬店・展示など、学生たちによるさまざまな催しが賑わったが、錚々たる一流講師による料理講習会は多くの来場者を集めた。講師を務めたのは田村隆(つきじ田村三代目「うま味の食文化」)、落合務(ラ・ベットラ・ダ・オチアイ オーナーシェフ「パスタの神様」)、村田吉弘(菊乃井主人「日本料理の神髄」)、フィリップ・ビゴ(ビゴの店オーナーシェフ「フランスパンの神様」)、田中健一郎(㈱帝国ホテル専務執行役員 料理長「フランス料理をあなたに」)、陳建一(四川飯店オーナーシェフ「中華の達人」)、三國清三(ホテル・ドゥ・ミクニオーナーシェフ「フランス料理の神髄」)、島田進(パティシエ・シマ オーナーシェフ「ステキな洋菓子の世界へ」)の各氏。
トークショーも行われた。講師を務めたのは生島ヒロシ(フリーアナウンサー「ダイエット成功の秘訣」)、鈴木章生(服部学園理事・食品学講師・管理栄養士「おしえて鈴木先生part4」)、服部幸應(服部栄養専門学校校長理事長・校長・医学博士・健康大使・和食大使「食育」)、山本益博(料理評論家「料理界の天才と名人」)の各氏。
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