中国語  日本語
ホーム > デジタル記事 > 記事全文

NPO法人東方文化交流協会が第3回日本語スピーチ大会
2017-01-04 12:51:46   From:篠原功   コメント:0 クリック:

NPO法人東方文化交流協会(理事長:高山英子)は、このほど東京・新宿区の戸塚地域センターで第3回日本語スピーチ大会を開催した。


全員で記念写真に納まる
  
NPO法人東方文化交流協会が第3回日本語スピーチ大会
 
5人の中国人留学生、日本への率直な意見や感想を語る
 
 NPO法人東方文化交流協会(理事長:高山英子)は、このほど東京・新宿区の戸塚地域センターで第3回日本語スピーチ大会を開催した。出場したのは東洋大学の国際地域学科の留学生、文学部や法学部で学ぶ交換留学生5人。それぞれ「自分に合う道」「私の見た日本」「日本の観光に必要なこと」などのテーマでスピーチした。なお、この大会には中国大使館文化処一等書記官の欧陽安氏が出席して祝辞を述べた。審査員は、㈱アレキサンダー&サン、㈱ジャパンコーポレーションなどが務めた。
 
 留学生たちのスピーチを前にして挨拶に立った高山英子理事長は「このスピーチ大会は、慣れない異国での生活や勉強を通して留学生たちは何を感じ、何を得ているか。また、私たちはどのような手段で支援できるかを考える機会にしたい。また、若い世代の交流がさらに深まる大会を継続していきたい」と決意を語った。
◆専門高校で学び、旅行会社設立を
 国際地域学科1年生の薛志敏さん(広東省東莞市)は、「自分に合う道」というテーマでスピーチした。薛さんは「中学校を卒業して専門高校進学という進路を選んだが、自分が他の高校進学者に及ばないと感じたことはない。むしろ、専門高校に進んだことに誇りを感じている」と強調した。
 この高校で観光外国語を専攻し、3年間を通じて一般高校で学べない多くの知識を学んだこと。この高校で学び、日本留学を決めたこと。さらに同級生と異なる道を選んだことを幸いだと感じていると語った。
 また、薛さんは、中国は現在、工業化の進展によって経済力が向上したが、都市における大気汚染などの環境汚染が深刻化したことを指摘。「この社会に何らかの貢献ができないか」を考えた結果、「観光客に自然環境・歴史遺産の保護意識を持ってもらうために旅行会社を設立したいと考えている」と語った。
 さらに薛さんは、個性無視の一律教育に疑問を投げかけ、個性を持つ一人ひとりは、「自分を束縛する制度から新たな道を開拓し、自分の合う道とやりたいことを見つけることが大切だ」と結んだ。


スピーチ大会出場者


最優秀賞の何越洋さんと高山理事長

◆他人のために考えていることに感心
 「私の見た日本」というテーマでスピーチした文学部交換留学生の何越洋さん(河南省開封市)は、「数多くの奇跡を創った日本はナンバーワンにならなくても、特別なオンリーワンだ」と語り、2カ月前に海を越えて日本に来て「百聞は一見に如かず」を、身を持って体験したとし、「東京人は無表情で冷たい」という話は何度も聞いたが、「全然違うと思う」と語った。
 そのうえで何さんは、「品川駅で見知らぬおじさんに入国管理局への道順を聞くと、紙にペンで地図を描いてくれた。また、若い人に道を聞いても『調べてみる』といって携帯で場所を教えてくれた。1年後、中国へ帰ったら、あの人たちのように、力の限り他人を助けようと決心している」と語った。
 また、日本には歩行が不自由な人のための配慮があり、エスカレーターに乗ると、自発的に左側に寄って、急ぐ人のために右側を空けることなどは、「みんな他人の立場に立って考えている」と語った。
 帰宅時に日本のサラリーマンが電車の中で居眠りしている姿に接し、「こんなサラリーマンがいるからこそ、日本経済の発展が支えられていることを知り、『よし!今日も頑張ろう!』と努力している」と語った。
◆マニュアル依存と観光客への差別なくせ
 国際観光学科1年の穆宇辰さん(北京市)は「日本の観光で必要なこと」というテーマでスピーチした。穆さんは、「日本のサービスは世界から最高との評価を得ているが、問題はないのか」と疑問を呈し、「サービスに感情を入れること」「インバウンド観光客に対して差別しないように努力すべきだ」と指摘した。
 その原因は、サービスがマニュアルに依存し過ぎて、柔軟な対応ができないこと。ロボットのようなサービスが日本で流行っていることは非常に深刻だとし、最近、外国人観光客のツイッターの「日本のサービスマンは元気だが、目を見ると完全に死んでいる」というコメントを紹介した。
 日本は観光立国という政策を推進、インバウンド観光客は増えているものの、世界の上位に達することができない原因の一つがサービスにあると語った。また、「インバウンド観光客の半数以上はアジアからの観光客だが、日本の若者の一部とメディアがアジアからの観光客に歪んだイメージを持っているようだ」と指摘した。
 それらによって「観光客を失う可能性がある」とし、「世界中からも尊敬されなければ観光立国にはなれない」と語った。それが「観光立国、オリンピックに向かって課題となるだろう」と指摘した。
◆怯えるだけでなく、一歩踏み出そう
 法学部交換留学生の章伊銘さん(福建省寧徳市)は、「今、必要なもの」というテーマでスピーチした。章さんのスピーチは、「怖い」というこの言葉を日本に来てからよく耳にする。まわりの人々だけでなく、私も常に口に出している。無意識のように、つい言ってしまう――こんな出だしで始まった。
 そんな自分の気持ちを振り払うかのように章さんは「いつも恐怖におびえて生きていくなら、何もできないではないか。何かしたいことがあったら、ためらわず、勇気を出して第一歩を踏み出すのは大切なことだと思う」と語った。
 さらにさまざまなことで怖がっていることは、自分に対する制限だとし、何かやりたいことがあったら、遠慮なくやってみる。実はそんなに難しくないこともあると語った。勇気を持つことに重要性について、「これはあなた一人の問題ではない。あなたの勇気ある言動は他人を変える力を持っている。勇気は他人に与えられるもので、黙ったままで何もしないのは実は悪いことをしているのと同じ」と語った。
◆便利さは他人への繊細な配慮から
 文学部交換留学生の高栄聡さん(遼寧省瀋陽市)は、「私の見た日本」というテーマでスピーチした。高さんは5年間、日本語を勉強してきて、日本文化の美しさに憧れ続けてきたことを振り返り、「3ヵ月前に1年間の交換留学生として日本に留学、想像だけでなく、身を持って日本を知ることができて感動した」と語った。
 さらにこの間、日本に対して印象に残ったことを3点挙げた。第一は、日本の公共サービスが優れていることだとし、空港スタッフ、地下鉄スタッフ、身障者への対応、道を聞いた時の人々の親切等々、「日本人は熱心であることが分かった」と語った。
 第二は、日本は便利だとし、時刻通り運行する電車が深夜まで通じていること。さらにバスまで時刻表があり、時刻通りに来るので、人々はスケジュール通り行動できると語った。さらに自動販売機はPASMOやSuicaで購入できること。「こうした便利さはすべて他人への配慮から生まれている」と語った。このほかお手洗いや、レストランでの繊細な配慮などについて「感心した」と語った。
 第三は、日本は厳しいことだとし、具体的に「コンビニでの行列、ゴミの分別」の例を挙げ、「これからの日本暮らしを楽しみにしている」と語った。
 スピーチした留学生の受賞は次の通り(敬称略)。
 薛志敏(特別貢献賞)▽何越洋(最優秀賞)▽穆宇辰(国際文化交流賞)▽章伊銘(審査員特別賞)▽高栄聰(優秀人気賞)
 

熱に関連する単語の検索:留学性スピーチ大会

前の記事:第12回日本語作文コンクール最優秀賞(日本大使賞)は蘭州理工大学の白宇さん
次の記事:芸術百花爛漫!「2016国際書画大賞展」盛大に

分享到: 收藏