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「第15回東京大薪能」入門能楽鑑賞講座
2013-08-06 14:23:25   From:   コメント:0 クリック:

中国国立浙江工商大学日本文化研究所教授,東南アジアテレビ局解説委員長,半田 晴久氏

 
「第15回東京大薪能」入門能楽鑑賞講座
 
ユーモア交え能鑑賞の3つの特色解説
 
中国国立浙江工商大学日本文化研究所教授
東南アジアテレビ局解説委員長
半田 晴久氏
 
【リード文】
 去る5月15日午後6時から東京都庁舎・都民広場で「第15回東京大薪能」が開催され、中国国立浙江工商大学日本文化研究所教授・東南アジアテレビ局解説委員長の半田晴久氏が「入門能楽鑑賞講座」と題して約1時間にわたってユーモアを交えながら能楽鑑賞のポイントを講義した。そこで本紙ではその概要について紹介することにした。
 
【本文】
 半田氏は能楽の3つのポイントについて解説した。それは①省略の芸術②序破急③シテ――であるとし、一つ目のポイントの「省略の芸術」については「能楽はまさに省略の芸術である」と結論付けた。「その意味で能楽は現代的・近代的・前衛的である。例えば悲しみの表現をする場合でも最小限度の表現をする。そこが京劇やオペラと大きく異なるところ」と半田氏。
 また、「役者は能面で顔の表情は省略されているが、その人物に成り切る。すると簡単な仕種で観客に悲しみ・喜びを伝えることができる。顔は能面で隠れているが、指で悲しい感情を表現する。すると観客は自然と涙が出てくる」という。
 当然、能楽の舞台セットは最小限度のものが設えられる。「そこに残っているものはシテ(主人公)。その一点に集約される。演出もシテに集中するようにする。シテの中身・精神性・没入感・内なるもののために省略する。動きを抑え、内面を表現する。そのような舞台芸術が要求される。すべて計算されている。省略の中からシテの内なるものを伝えるのである」と強調した。
 さらに半田氏は省略して内なるものを伝えるという手法は「老子」の精神からきていると結論付けた。「省略の芸術は14世紀の室町期に美意識を確立した。茶道は道教の思想の影響を受けている。表現方法はまさにこれだ」と述べ、老子の次のような名言を紹介した。「学を為せば日に益し 道を為せば日に損す 之を損して又損し 以って、無為に至る 無為にして為さざる無し」――「人為的なものがなくなる。秘すれば花なり。ここに省略が出てくる。隠そうとすればするほど花が表に出てくる。表そうとすれば引っ込む。この思考方法は西洋芸術とは大きく異なる」と東西の芸術の相違点を明らかにした。
 
「能」は世界に誇れる日本の代表的芸術
シテは最小限の動きで最大限の内面表す
 
 また、半田氏は「老子思想は禅・儒教・神道なども内包している。京劇は誰が主役か判らないほど派手だが、能は地味だ。シテの一点主義で、その内面が伝わるように創られた究極の舞台芸術である。最小限の動きで最大限の内面を表現する。欧米の舞台芸術と大きく異なるところで、能楽はある意味で前衛的・近代的芸術で、世界のどこで演じてもピッタリはまる。省略しているからである。その意味で能楽に誇りを持っていい」と語った。
 2つ目のポイントの「序破急」について半田氏は「能は『序破急』で出来ている」と結論付けた。能における「序」は導入部、「破」は展開部、「急」は結末部で構成される。今回の第15回東京大薪能では、能「井筒」、狂言「茶壺」、能「土蜘蛛」で構成された。
 「能2つに狂言1つが入った。舞台はゆっくり進む。最小限の動きで喜び・悲しみを表現する。全体を『序破急』で展開する。謡い、舞い、あるいは歩く、回転する――このすべてを『序破急』で行う。つまり、自然の動きは『序破急』なのである」と解説した。
 例えは能「土蜘蛛」には「序破急」がすべて含まれているという。「声は肉声ではなく、心の声を重視している。観客はそれを聞くことになる。恋する女の声、子を慈しむ母の声、神秘的な天女の声――声色は一切使わないが、観客は内なる心の声を聞いて泣いたり、笑ったりする。一方、シテは最小限度の動きで内面を表現する。シテに成り切ると観客は感動する。これが究極の芸術だと思う」と半田氏。
 さらに半田氏は「能から日舞や歌舞伎が生まれた。世阿弥をテキストにしている。日本人が誇るべき舞台芸術が継承されてきた。日本人として誇りを持ってほしい」と述べた。また、ここで半田氏は世阿弥、観阿弥が確立した「金剛流」、さらに「喜多流」「宝生流」の特色や、これらがどのように影響を受けながら今日に継承されてきたかを解説した。
 そして半田氏は最後に3つ目のポイント「シテ」について言及した。「シテである能楽師は表を付けたり、衣装を着けたら役に成り切る。この考え方は真言密教の思想に影響を受けている。能面一つで女・妖精・化け物・男というように自由自在に役に成り切らなければならない」という。
 しかし、「能面をつけない演目もある。これを『直面(ひためん)』という。しかし、顔の表情を一切出さない。それだけに難しい。このようにして一人の能楽師が仏・鬼・天狗・女人・男・子どもまですべてを演じる。これも能の大きなポイントである」
 

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