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「2012 中国山東省(東京)経済貿易協力セミナー」
2012-06-05 12:21:33   From:人民日報海外版.日中新聞日本語版512号   コメント:0 クリック:

5つの産業分野で協力関係強化へ 12・五計画の動き出す4大経済圏構想




 

さる5月8日、都内ホテルニューオータニ東京において、山東省人民政府の主催で「2012 中国山東省(東京)経済貿易協力セミナー」が開催された(協力:日本国際貿易促進協会、後援:中国駐日本国大使館、日中経済協会、日本貿易振興機構、三菱東京UFJ銀行、みずほフィナンシャルグループ、三井住友銀行、信金中央金庫)。今年2012年は日中両国にとって「国交正常化40周年」という記念すべき年。今回、山東省による経済貿易協力セミナーも記念事業の一つに位置づけられている。会場内には300名を越える人々が出席、張 忠明副秘書長から基調講演、同じく同省商務庁の孫 建波副長官より「山東省地域発展計画」と題する講演が行なわれたほか、威海市や煙台市、棗荘市などの代表が次々に登壇、各地域の投資環境や最新経済環境などが紹介された。
(見出し)
「海洋」「生態系保全」で産業振興
9市の代表が優位性、特徴など詳報
(本文)
 山東省による「経済貿易協力セミナー」がスタートすると、まず来賓を代表して中国駐日本国大使館より呂 克倹公使が登壇、開催に当たって関係各位に感謝の言葉をおくった。呂公使は来賓各位に祝辞を伝えると、続けて「山東省は中国にとり非常に重要な省だ。日本との友好関係も非常に密接だと私は思っている。双方の努力で中日間の経済貿易関係は様々な困難を乗り越えて、今、大変な成果をあげている。それも皆さんの日々の努力の結果と思い、改めて敬意を表する」と語る。呂公使は「ご存知の通り、今年は『中日国交正常化40周年』の年であり、中日双方は色々な記念イベントを開催している」「今回、山東省のセミナーは経済分野での記念すべき会合だと思う」「中国は今、第12次五ヵ年計画に着手して2年目となった。山東省は中国の対外開放、特に経済発展のハイライトとして様々なプロジェクトを打ち出している。両国における経済協力で、全く新しい協力分野が出てくると思う。本日は省首脳に加え、山東省内の9つの市政府代表がそれぞれ特色ある投資機会や経済協力分野について登壇される。各市における最新の取組みについて、一層理解が深まることを祈念している」と続けた。
 呂公使の挨拶に続いて、日本側の協力機関を代表して、日本国際貿易促進協会の笠井?雄理事長が登壇、挨拶した。笠井理事長は来賓各位、そして満席となった会場内に向けて感謝の言葉を述べると、続けて「山東省の説明会、昨年は3月の11日に同じくこの会場で開催される予定だった。しかしご存知の通り、その日、東北地域を大変な規模の地震が襲い、遠く離れたここ東京も大変な影響が生じた。あの日、説明会を主催すべく訪日されていた山東省の皆さん、そしてお話を聞こうと会場に居た我々はこの場所で同じ経験をした」と語る。笠井理事長は「今年3月我々は山東省もお訪ねした。そこで藍色、黄色という、明確に色分けされた発展計画をお聞きした」「こうした計画が実現されていくことで、山東省は益々中国にとり重要な省となっていくことだろう」と語り、「最後まで是非、山東省の将来について、耳をカ長けていって欲しい」と語った。
(見出し)
年平均で9%の経済成長目指す
次代の新産業育成にも尽力
(本文)
 その後、主催側を代表して、山東省人民政府の張 忠明副秘書長が登壇、基調講演を行なった。
張副秘書長は冒頭、来賓並びに満席となった会場内に向けて感謝の言葉を伝えると、 山東省の特色や強み、地理的優位性などについて触れるとともに、山東省と日本との友好交流や経済連携の歴史を紹介した。例えば山東省は日本の山口県、和歌山県との間で姉妹都市関係を結んでいるほか、日本の経済団体10機関との間でも「経済協力協定」を締結するなど非常に関係が深いと説明、直近で山東省内で1万人を超える日本人が仕事に生活に勤しんでいると説明した。
 張副秘書長は講演の中で、山東省による第12次五ヵ年計画についても紹介した。全体目標としては2015年の計画終了年までに、「地域総生産、GDPは年間平均9%成長」「固定資産投資は年間平均15%成長」「小売総額、年間平均15%成長」「輸出入総額は年間平均10%成長」を掲げている。また地域発展に向けた取り組みとしては「山東半島藍色経済圏」そして「黄河デルタ高効率生態経済圏」の2大プロジェクトについて紹介した。
 張副秘書長は、山東省と日本との経済交流についての関係強化に関し「海洋経済」「先端型製造業」「環境省エネ産業」「サービス産業」「農業」の各分野について、より密接な関係構築の実現に期待を寄せた。
 張副秘書長の講演に続き、山東省商務庁の孫 建波副長官が登壇、「山東省地域発展計画」と題する基調講演を行った(別項参照)
 
 その後セミナー会場では、山東省の各市町村の代表が月々に登壇、各市の近況、投資環境、重点産業振興に向けた取り組みなどが説明された。
 今回の訪日に当たり、山東省政府は省の発展計画に基づいた重点プロジェクト、約200件にのぼる優先プロジェクトリストを用意してきたといい、会場内では熱心に見入る人の姿も散見された。
 
 
※◆基調講演
「山東省地域発展計画について」
山東省人民政府
商務庁 副長官 孫 建波氏
(本文)
 さて、鷲からは山東省における重点産業発展に向けた取り組みについてお話したい。
 山東省は第12次五ヵ年計画の策定にあたって「4大地域発展計画」を策定した。
 山東省沿海部を中心とした「山東半島藍色経済圏」を筆頭に、省内北部エリアの発展に焦点を当てた「黄河デルタ高効率生態経済圏」、そして内陸側の地域発展を目指す「省都都市群経済圏」、そして省内南側の振興を目的とした「山東省南部経済圏(南部産業クラスター)」の4つだ。
 まず「山東半島藍色経済圏」からご紹介したい。
 2009年4月と10月、胡錦涛国家主席が山東省を訪問、視察された。その視察時に胡国家主席は「『大洋経済』を振興させ、計画的に『海洋資源』を利用し、『海洋関連産業』を育成して、『山東半島藍色経済圏』を形成しよう」、と指示された。
 その後、2011年1月、中国国務院がこのプロジェクトの実施について正式に承認したことを受けて、「山東半島藍色経済圏」計画は、中国の国家戦略に正式に取り上げられた。これは第12次五ヵ年計画がスタートした年に批准された国家発展計画であると同時に、中国初となる「海洋経済」をテーマとした地域発展戦略となった。
 「山東半島藍色経済圏」の対象地域は、中国の東部沿海部に位置しており、15・9万平方キロメートルの海域、6・47平方キロメートルの陸地面積を有している。山東省の東側、沿海部に位置する7市、51県(市・区)がその対象エリアとなっている。
 このプロジェクトの特徴は簡単に言えば、一つの中核地域(一中核)、両サイド、三層、三つのペアというキーワードに整理できる。ここでいう「一中核」は「山東半島ハイテク海洋産業クラスター」を指している。「両サイド」というのは、省北側に位置する「黄河デルタ高効率海洋産業クラスター」と南側に位置する「南部臨港産業クラスター」に対応している。一方、「三層」というのは、海岸線の先にある「海洋保護地帯」のことで、陸に近い順で「海岸」「近海」「沿海」と呼び、それぞれ保護していくというもの。
 そして、「3つの(都市)ペア」というのは、「煙台と威海」「青島とイ坊と日照」「東営と濱州」という3つの都市ペアを形成させ、地域の分業体制を発揮させていこう、というものだ。
 このエリアにおける重点産業としては一流の「海洋新興産業」、「現代漁業」や「海洋ハイテク産業」「海洋サービス業」が率先して集積される地域作りを目指す。またその目標としては「強い競争力を有した海洋産業クラスター」、「高い研究水準を持った教育エリア」、「国家海洋経済特区」「海洋経済モデルエリア」をそれぞれ創出していく、という目標が掲げられている。
 その実現に向けて、国、省、市は支援策として「財政」「融資」「土地の利用」などで手厚い優遇措置を講じていく。例えば、資金規模500億元にのぼる「藍色経済圏基金」の設立や「海洋産業発展」に関するガイドラインの作成し、資金の投入を海洋関連産業や新興産業へ誘導していくこと、そして「国家の優遇政策に符合する」産業への所得税の優遇、開発区内での「国際経済団地」設立の支援や「通関手続きの簡素化」など、その内容は多岐にわたる。
(見出し)
「藍色経済圏」で「海洋経済」発展目指す
09年に承認された「生態優先型」地域開発
(本文)
 次に「黄河デルタ高効率生態経済圏」計画について。この計画は09年に中国国務院より正式に承認を受けたプロジェクトで、中国初となる「生態が優先された」地域開発、発展計画となる。
 黄河は中華民族にとって「母なる河」といわれている。現在でも年間1・5万ムー(約1000万平方メートル)もの新たな土地を作り出している。
 この計画の対象エリアは、「環渤海経済圏」の南側に位置し、山東省内における北側の6都市、そして19の県・区で構成されているエリアだ。陸地面積は2・65万平方キロメートルで未開発の土地は800万ムー(約53万ha)に及んでいる。中国東部沿海地域において、最も土地のパワーが豊かなエリアでもある。
 資源の利用効率の向上と生態環境の改善をテーマとして、同地域では効率の高い農業をベースに「環境に優しい工業」、「環境に優しいサービス業」を中心とする産業構造作りを目指していく。
 「黄河デルタ高効率生態経済圏」における「臨港産業エリア」では、石油や塩化学工業、船舶、機械設備、石油機械、新エネルギー、バイオ、物流、生態観光、沿海観光などの産業を振興させ、高効率の生態経済モデルを樹立したいと考えている。同エリアの位置付けとしては、「高効率の生態経済モデルエリア」「鮮明な特徴を持つ産業集積地」「重要なパワーを持つ土地利用エリア」「環渤海圏における重要な成長地域」という目標がある。
「黄河デルタ高効率生態経済圏」の円滑な推進に向けて、国家は様々な支援策を講じている。「金融改革を推進し、『黄河デルタ発展銀行』や『黄河デルタ発展ファンド』を設立」すること。また「財政税制体制の改革を加速」させ、黄河デルタエリアのインフラ建設に資金的援助を強化する。そして国家財政の優遇政策を十分に利用して、環境に優しい産業を支援している。このほか、土地管理体制を改革させ、土地開発に政策を傾斜させ、「創新」を促進し、科学技術の向上と人的支援の育成を支援している。
(見出し)
「都市群経済圏」の主役は省都「済南」
省経済の牽引役になう「南部経済圏」
(本文) 
  次は「省都都市群経済圏」について紹介する。ここでは、省都である「済南」を中核として、泰安や徳州、聊城などの7都市を対象エリアとする経済圏で、その総面積は5・2万平方キロメートル。東部からの産業シフトを受けいれ、都市と農村のバランスの取れた一体的な発展を実現する重要な地域となる。この地域では省都である済南の機能を事由分に発揮させると同時に、都市機能を増強させ、地域的な金融センター、文化観光地、イノベーション及び人材育成を集積させる地域の実現を目指している。また周辺エリアと発展を一体化させ、地域全体へ発展へとつながっていくことを目指している。
 高速道路や鉄道、レール交通などの交通網を整備し、自動車、産業機械、新エネルギー、ソフトウェアなどの産業を集積させ、活力溢れる付加価値の高い産業構造を築くとどもに、周辺都市との分業体制を形成させていく。
 最後に山東省における「南部経済圏」について説明する。
 この地域は山東省における5つの都市を含む総面積5・05万平方キロメートルのエリアだ。黄河地域における港湾や鉱物資源、エネルギー資源などの優位性を発揮して、日照における「鉄鋼産業クラスター」や南部エリアにおける「臨港産業クラスター」の形成し、そして「運河沿岸経済圏」を創出、運河経済を発展させていく狙いがある。
 この地域では、重要な精密機械工業、化学工業、建材や機械製造、物流流通、観光、農産物加工などの生産加工基地として建設し、山東省経済の全体的な発展を牽引する役割を果してもらうことを期待している。
 より多くの皆さんが、山東省の地域発展に参加されるとともに、我々も皆さんの事業の成功に向けて、山東企業と同等のサービス、優遇政策を提供したいと考えている。

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