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日中韓若者フォーラム
2015-04-30 14:30:38   From:篠原功   コメント:0 クリック:

工学院大学孔子学院(学院長:西園寺一晃)は、このほど東京・新宿区の同学院で「日中韓若者フォーラム」を開催した。

工学院大学孔子学院

『日中韓若者フォーラム』

日中韓関係など本音で語る
民族色溢れる3国の芸能も

 工学院大学孔子学院(学院長:西園寺一晃)は、このほど東京・新宿区の同学院で「日中韓若者フォーラム」を開催した。日本・中国・韓国は東アジアの主要国で、GDP総額は東アジア全体の80%近くを占める。この3国の関係が現在、不正常な関係にある。国家関係は正常化することが望ましいのは言うまでもないが、国家関係がどうあれ、国民同士は友好を深めなければならない。特に将来を担う3国の若者は理解・尊重し合い、良き関係を結ぶことが大切だ。同フォーラムは、3国の若者が現在の日中韓関係、将来のアジアのあるべき姿などを本音で語り合うために開催したもので第一部ではパネルディスカッション、第二部では3国芸能競演が行われた。
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 西園寺一晃学院長は、第二次世界大戦後、40年以上にわたって世界規模での対立が続いた「冷戦」によって多くの国が2つに分裂したことを例に挙げた。「1989年のベルリンの壁の崩壊後、統一される国が出たが、朝鮮半島など未だに冷戦が崩壊していないところもある。争うよりも協力した方がいいと理解していてもなかなか実現しない東アジアが平和で仲良く暮らしていける環境をつくるために若い人たちに期待したい」と述べた。
 次いで第一部のパネルディスカッション「日中韓関係とアジアの平和」に入った。パネリストは工学院大学工学部応用化学科1年の前川愛美さん、早稲田大学政治経済学部の斉藤智さん、滋賀大学大学院経済学研究科2年の孫秀蓮さん、南開大学日本研究院3年・国学院大学文学研究科交換留学生の邱傑さん、横浜国立大学社会科学府1年のチェ・インチョルさん、韓国延世大学卒業・東京大学大学院総合文化研究科博士課程在籍のオ・ヨンテさん。なお司会を務めたのは北京大学中国語言文学系修士課程修了・東京大学研究生の藤井美娜さん。
 前川さんは「日中韓は東アジアに属し、顔が似ている。特に中国と日本は同じ漢字を用いている。しかし、反日運動のニュースを見ると日本への反感が強いようだ。特にメディアが中国や韓国に対する悪い印象を与えている。中国食文化に興味があり、韓国の韓流スターやJ-POPに興味を持っているが、反日感情を抱いている人が多いのは残念。このほか韓国にはサムソンに代表されるようにパソコンやテレビ技術でいいイメージを持っている」と語った。

歴史問題、文化交流など語る
胸襟を開いて語り合う交流を

 これに対してオさんは「日中韓では歴史戦争という表現が使われるほど歴史認識の違いが争いの原因になっている。日本による戦争・植民地支配など過去がなければ現在もない。過去をどう語り、次世代に教えていくか、これが国家のアンデンティティになっている。中国や韓国に対して日本はどう謝罪するのかが今問われている」と述べた。
 また、邱さんは「歴史問題もあるが、現在と未来の問題も重要だ。安倍政権が成立して以来、憲法第9条改正や集団自衛権問題が歴史問題と関わっている。日本の最近の動向を見ると周辺国にマイナスイメージを与えているのではないか。安倍政権は大きな発信力を持ってきている。安倍政権の今後の動向を注視している」と語った。
 斉藤さんは「邱さんの言う現在に注目すべきというのに同感だ。歴史を知り、東アジアの現状を理解することが重要。今、私たちは歴史を知恵に変えることだ」と提言し、孫さんは「日本は歴史問題が存在することを認めることだ。その象徴が靖国神社参拝問題だ。中国では罪を犯した人は死んでもその罪は消えないが、日本では罪を犯しても死んだら仏になるという考え方だ。違いを尊重して認め合うことが大事ではないか」と語った。
 チェさん「歴史問題ではメディアの報道が大きな影響を与える。韓国では年齢を重ねていくうちに日本が嫌いという人が多くなる。メディアが伝える歴史問題を鵜呑みにしない姿勢が大切だ」と語れば、斉藤さんは「アジアの隣人同士は敵ではない。友好への不断の努力が必要。認識せずして評価せず。他者を真に理解するためには胸襟を開いて飛び込むべき。メディアはあくまでも補足。体験こそが重要だ」と語った。
 一方、チェさんは、韓国では反日教育を行なっていないと否定、「国が率先して国民に日本の悪いイメージを植え付けているわけではない。したがって反日教育を止めろというのは見当違いだ。また、日本人イコール悪ということではない。韓国では独立運動で戦った人を英雄として扱う。しかし、日本ではテロリストに日本人全員が悪いと言う声はない」と語った。
 また、オさんは「メディアやネット情報が大量に流れる今日、批判的に情報を判断する力が必要。特に語学力を身に付け、文化を理解していく姿勢が大切」と語れば、孫さんは「周囲に影響されず、直接お互いが会話して交流する機会を作ることが必要」と述べた。
 チェさんは「バイト先で店長さんからファッションセンスが良くなったと褒められ知り合いのおじいちゃん、おばあちゃんに大切にされている。やはり人と人の付き合いが大切」などという意見が出された。この後、文化交流の重要性について熱い議論が行なわれた。
 第二部では3国芸能競演が行なわれた。津軽三味線の北村貴寿さんとタニカワユウジさんが『津軽タント節』『ソーラン節』『あどはだり』、劉妍さんと劉東風さんが『変面ショー』、金宜伸さんが伝統舞踊・韓戯『扇の舞』『剣の舞』『散調舞』を披露した。

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