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友好30周年記念イベントで静岡県で中国の仏像4体が盗難
2012-08-29 12:06:46   From:人民日報海外版.日中新聞日本語版523号   コメント:0 クリック:

中国で著名な銅工芸作家、朱炳仁氏の力作ミニチュア「霊隠銅殿」に附属する仏像群早期返還も願って、盗難届を静岡県警へ 今年4月、静岡県...

 

中国で著名な銅工芸作家、朱炳仁氏の力作
ミニチュア「霊隠銅殿」に附属する仏像群
早期返還も願って、盗難届を静岡県警へ

 今年4月、静岡県と中国浙江省が「友好提携30周年記念事業」の一つとして開催した「名品展示会」において、中国の著名な工芸家である朱炳仁氏が制作した仏像4体が紛失したことを受けて、さる8月2日、東京都内で関係者らによる記者会見が行われた。会見では朱氏の代理として日本を訪れた陸 寧氏が7月31日、静岡南警察署へ盗難届を提出、翌8月1日に正式に盗難事件として受理されたことを受けたことを集まった記者たちに説明、盗難届提出に至るまでの経緯に詳しく紹介した。また同会見には、朱氏が理事を務める「NPO法人 日中佛教交流文化協会」の龍道 華彩理事長、一般社団法人 日中観光振興懇話会の大島利徳氏が同席、仏像の早期発見を改めて強く呼びかけた。

計80キロの仏像が短時間で場内から消えた
搬送作業の混雑を狙っての計画的犯行か?

 浙江省杭州市にある「霊隠寺」。この寺の「五百羅漢堂」内にある「霊隠寺銅殿」は、縦横約5メートル、高さ12・62メートル。世界最大の銅製構造物、工芸作品としてギネスブックに登録されているという。2000年、銅工芸作家として名高い朱 炳仁氏の手で制作された作品で、朱氏はこのほか峨眉山寺院にある屋根飾り、西湖湖畔に佇む「雷峰塔」など数多くの建物でその実力を遺憾なく発揮してきた実力派だ。
 静岡県と浙江省との「友好提携30周年記念事業」の一つとして、静岡県の「浙江-静岡名品展覧会」が2012年4月に開催されることになり、同展覧会への(作品の)出展要請が寄せられた朱氏は、ギネス記録にもなった「霊隠銅殿」のミニチュア(高さ2・35メートル)を出展することに決めた。この銅殿の4つ角には、霊隠寺にあるものと同様にミニチュアの菩薩像4体(高さ45センチ、重さ各20キログラム)が安置された精巧なもの。4体の仏像制作に用いられた金型は現存の仏像1体ずつを残して全て破棄された、という。
 4月3~5日にかけて、静岡市駿河区の「ツインメッセ静岡」で開かれた「浙江-静岡名品展覧会」。浙江省側は今回、計1000点を越える名品を出展。朱氏の「霊隠銅殿」は美術工芸作品の目玉として多くの参観者から注目されていた、という。
 事件が起きたのは、イベントが終了し、美術品の梱包・搬出が行なわれた4月6日のことだった。
 資料のよるとこの日の午後から梱包作業が始まった。「霊隠銅殿」の梱包では、ます4体の仏像を梱包せず、一端「銅殿」から離して床に置いた。そして本体の梱包が終了する頃、輸送業者からの依頼で別の梱包が優先されることなり、再び「霊隠銅殿」の梱包を優先してもらえるよう交渉するため17時20分ごろに現場を離れたという。そして17時35分、担当者らが現場に戻るとすでに仏像4体は無くなっていた、という。高さ45センチ。重さも1体20キログラム。4体併せて80キログラムの重量は、一人では到底短時間に運び出すことはできない。そのため、紛失の可能性から八方手を尽くして探したものの見つからない。監視カメラも稼動していたが、場内は搬送作業中たったため、他の搬送物により「霊隠銅殿」周辺は死角となっていた。
 仏像が展示会場から無くなったのと同じ頃、「霊隠銅殿」の制作者である朱 炳仁氏は愛知県犬山市に移動していた。朱氏と同じ車に同席していた「NPO法人 日中佛教交流文化協会」の龍道 華彩理事長が電話連絡の一部始終を見ていた。龍道理事長は「そうとう困惑されていたが、同時にこの話が大きくならないように気を使われていた」と話す。 静岡県と浙江省の友好30周年記念イベント。その静岡県で中国の仏像が盗まれるという事態で、折角の友好機運を悪化させたくない、と願っていた、とも。そして他の梱包物に紛れ込んだ可能性もあるとし、上海であらためてX線などでスキャンすることになった、という。

見つからなかった4体の仏像
事実を伝えることで早期返還を

 8月2日、都内で開かれた記者会見で、朱氏の代理として訪日した陸 寧氏は、先に起こった事件の経緯と盗難届に至る状況について記者たちに説明すると「上海でスキャンした結果、1000点以上に及ぶ品々の中に仏像は無かった」「盗難であるなら非常に計画的なもの。是非、仏像を取り返して欲しい」と語ると同時に「今回の事件に際して、多くの日本の方々から大変に暖かい支援を受けた。日本の警察も非常に真摯に事態を受け止めておられ、頼もしく思っている」と語る。そして「日本の報道では『何事も無く仏像が返却された』ケースもあると聞く。大切なものなので是非とも返して欲しい」と続けた。
 陸氏に続いて、「NPO法人 日中佛教交流文化協会」の龍道 華彩理事長が事件当日の状況について説明した。「NPO法人 日中佛教交流文化協会」は貧困地域の未就学児童支援を中心にボランティア活動を続けており、過去10余年の間に12ヵ所に小学校を寄贈した実績を持つ。朱氏は同NPO法人の理事として参画。日本でイベント成功を祝って愛知県へ移動したところ、事件の知らせを聞いた、という。中国と日本との間に影さすことがないように願う一方、多くの方に呼びかけることで仏像が再び自身の下に戻ることも願っている、と朱氏の思いを代弁した。
 続いて、日中観光信仰懇話会の大島利徳会長がマイクを握った。大島会長は「日本で中国の大家が制作した仏像が盗難されたということに憤りを感じている。文化交流を通じて多くの人々が互いを理解し、親しみを感じ、互いの国を行き来することで、よりその関係は深まる。その文化交流を台無しにする行為には断固とした態度を示したい」と語り、二度とこうしたことが興らないよう、様々な配慮を各方面にお願いしたい、と続けた。

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