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中国、ネット金融の闇 個人の生活費、狙い撃ち
2016-05-26 09:24:30   From:日本経済新聞   コメント:0 クリック:

 「1年以上大丈夫だったから買い増したところだった」「ウェブサイトは今朝までつながっていたのに」。4月6日午後、上海で指折りの観光地である外灘に数十人の投資家が集まった。高利回りをうたい文句にネットで資金を募ってきた運用会社、中晋資産管理が警察の捜査を受けたと聞き、駆けつけたのだ。

 ただ、中晋の幹部はすでに根こそぎ拘束されたあと。投資家らは口々に不安をぶつけ合うしかなかった。翌日も、翌々日も彼らは足を運んだが、オフィスビルの玄関から「中晋1824」と書かれた看板はいつしか撤去されていた。

 金のカギ3号。破綻直前まで募集していた商品の勧誘資料がある。「私募のファンドで、お客様は有限責任のパートナーになります」「弊社グループ40社に投融資します。上海市のプロジェクトです」。にわかに信じがたい言葉が並ぶが、投資家は年利8~12%という商品性に飛びついた。

 実態はグループで資金を流用しあう、ネズミ講に近いものだった。昨年には年利40%を掲げた商品も登場、総額で300億元(約5000億円)もの資金を集めていた。

 中晋だけではない。株や債券、不動産、ヘッジファンド――。ネット上には思いつく限りの投資対象を掲げた運用商品が並ぶ。上海ディズニーランドへの投資をうたう商品も登場していた。

 元利払いが危ぶまれる商品の宣伝に関わったとして、著名経済学者の郎咸平氏がやり玉にあがる一幕もあった。「ネット金融は全体の3分の1に問題」。中国当局は傘下の機関紙を通じ、繰り返し警鐘を鳴らす。

 夢のような投資先、高利回り、著名人のお墨付き。金融知識の乏しさを指摘するのは簡単だが、笑い飛ばすだけでは済まない。日本で流行語にもなった老後破産の恐れは中国の方がより切実だ。

 積み立ててきた金額によるが、農村部における年金の給付額は月200~300元にすぎない。いかに生活コストの低い農村でも、この金額では暮らせない。

 株から不動産、理財商品を経てネット金融へ。猫の目のように変わる流行を追い、個人がこぞって資金を投じるのは、なんとか生活を守りたいという切実な思いがある。

 しかし、株バブルは崩れ、不動産も大都市を除けばだぶつき気味だ。詐欺師は手詰まりの個人を狙い撃ちにする。社会保障も投資家保護も乏しい中国で、ネット金融の闇が静かに広がっている。


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