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中国、不動産バブル警戒 7~9月予測 6.6%成長に減速エコノミスト調査
2016-10-05 15:24:41   From:日本経済新聞社   コメント:0 クリック:

中国政府は不動産バブルの抑制に動いているが、相場の乱高下に伴う混乱を懸念する声が少なくない。
中国の不動産市場の過熱に警戒感が高まっている。日本経済新聞社と日経QUICKニュースが4日まとめた中国エコノミスト調査では、景気の下振れを招きかねないリスク要因として「(反動による)不動産市況の悪化」を挙げる向きが最も多かった。中国政府は不動産バブルの抑制に動いているが、相場の乱高下に伴う混乱を懸念する声が少なくない。
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 19日発表の7~9月期の実質国内総生産(GDP)成長率の予測平均値は前年同期比6.6%と、4~6月期(6.7%)からわずかに減速する見通しだ。2016年通年の成長率も6.6%と、政府目標の「6.5%以上」を達成できるとの見通しが強い。

 8月の経済統計で生産や消費の伸びが拡大するなど、足元の景気には安定の兆しも出ている。

 ただ政府による財政出動や不動産価格の上昇に支えられた面が大きく、「景気が底入れしたとみるのは早すぎる」(三菱東京UFJ銀行の楊志氏)との意見が大勢を占めた。

 民間投資の低迷が景気を下押しするとの見方も強い。シンガポール銀行のリチャード・ジェラム氏は「過剰供給を抱える国有企業の方が借り入れがしやすく、(民間投資を阻害する)クラウディングアウトが起きている」と指摘する。

 一方、南京やアモイで8月の新築住宅価格が前年同月比30~40%上昇するなど、不動産市場の過熱は上海や北京など大都市から地方都市に波及し始めている。

 不動産市況がどれだけバブル的な状況にあるかを1から10の数字(10が最も過熱)で表すよう求めたところ、回答の平均値は7と、3カ月前の前回調査の6から上昇した。

 みずほ証券アジアの沈建光氏は「中国経済の持続可能性に深刻な懸念をもたらしている」と指摘する。

 不動産価格の上昇は金融政策の余地も狭めており、利下げは当面ないとの予想も増えている。

 アクサ・インベストメント・マネージャーズの姚遠氏は「中国人民銀行(中央銀行)は不動産バブルから生じる金融システムリスクを懸念しており、追加金融緩和のハードルは高い」と分析する。

 地方政府は住宅購入規制を強化するなど投機抑制に動いており、UBSの汪濤氏は「今後数カ月は住宅建設の回復が続くが、17年以降は販売が落ち始める」とみる。

 一方、「将来に不動産バブルが崩壊すれば、資本市場の再調整をもたらす可能性もある」(BBVAの夏楽氏)と混乱を懸念する声もある。

 16年末の人民元の対ドル相場の予測平均値は1ドル=6.80元と直近の相場より2%程度の元安・ドル高水準を見込む。

 ソシエテ・ジェネラルの姚煒氏は「資本規制の強化が効いており、当面は人民銀はそれほど為替介入しなくても緩やかな元安傾向を維持できる」と予測する。

 

 調査の方法 日本経済新聞社と日経QUICKニュース(NQN)が9月下旬、中国経済を専門とするエコノミストを対象に書面で実施し、26人から回答を得た。

 2011年4~6月期以降、四半期ごとに中国経済の成長率や関連するテーマを聞いており、今回が22回目。

 

<回答企業・エコノミスト>

 (英語社名のアルファベット順、敬称略)

 ABNアムロ(アリエン・ファンダイクハウゼン)、ANZ銀行(楊宇霆)、アクサ・インベストメント・マネージャーズ(姚遠)、中国銀行香港(蔡永雄)、シンガポール銀行(リチャード・ジェラム)、三菱東京UFJ銀行(楊志)、BBVA(夏楽)、シティグループ(劉利剛)、クレディ・スイス(サンティタルン・サティラタイ)、大和証券(頼志文)、DBS(梁兆基)、ドイチェ・アセット・マネジメント(ショーン・テイラー)、ゴールドマン・サックス(宋宇)、恒生銀行(姚少華)、HSBC(屈宏斌)、ジュリアス・ベア(スーザン・ジョーホ)、凱基証券(陳浩)、マッコーリー(胡偉俊)、みずほ証券アジア(沈建光)、モルガン・スタンレー(●自強=●は刑のりっとうがおおざと)、ナティクシス(彭藹●=おんなへんに堯)、野村国際(趙揚)、ソシエテ・ジェネラル(姚煒)、スタンダードチャータード銀行(丁爽)、新鴻基金融集団(温傑)、UBS(汪濤)

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