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収益率高い中国IT企業に投資家が熱視線
2017-02-08 22:14:39   From:日経   コメント:0 クリック:

遺伝子解析を手掛ける中国の北京基因組研究所(BGI)の共同創業者、王俊氏が2015年、●雲智能(iCarbonX、●はいしへんに炭)と呼ばれる深圳の医療技術会社を設立するためにBGIを去った際、中国の大手ベンチャーキャピタル(VC)数社が是非融資をしたいと同氏の機嫌をうかがった。紅杉資本中国基金(セコイア・キャピタル中国)のニール・シェン氏は、BGI時代から王氏を支援していたため、他社よりも有利だと考えていた。中国の投資会社、高●資本集団(ヒルハウス・キャピタル、●は令に瓦のつくり)の張磊氏は王氏が望むだけ資金を出すと言った。しかし、王氏は結局、中国インターネットサービスの騰訊控股(テンセント)の創業者で最高経営責任者(CEO)の馬化騰氏に資金協力を仰いだ。馬氏は新会社の価値を10億ドル(約1120億円)と見積もり、2億ドル近くの資金を提供した。

 王氏に対するVCのこうした熱意の陰には同氏のBGIでの経歴がある。いまやゲノム配列解析ではトップクラスのBGIは、米マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ氏の社会貢献を目的とした組織、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と緊密に連携する。BGIが上海で来月にも上場を果たせば、セコイアなどのVCは大きな利益を得るとみられている。

■模倣ではなく独自技術磨くIT企業

 

株式市場でも中国IT企業の存在感が高まっている=ロイター

株式市場でも中国IT企業の存在感が高まっている=ロイター

 中国でIT(情報技術)企業といえば、主に電子商取引最大手のアリババ集団や、「微信(ウィーチャット)」を中心にソーシャルメディア事業を伸ばしているテンセントなどを指したのはそう昔のことではない。しかし、状況は変わっている。IT企業は裾野が広がり、付加価値も収益力も高まってきた。投資家のほとんどが中国経済の先行きを日増しに悲観的に見るようになっているが、ことITに関しては比較的楽観的な見方が多い。ロボット技術や人工知能(AI)から、ITと金融を融合したフィンテックや医療機器などまで、中国は模倣ではなく、自ら技術を開発しようとしている。幸運にも創業間もないベンチャーに投資できれば、大きな利益を得られるとの期待は高い。米調査会社CBインサイツが最近公表した世界の有力未上場IT企業は、上位10社のうち4社が中国企業だった。残りは5社が米国企業で、1社がインドの企業だ。

 米投資ファンドのウォーバーグ・ピンカスが新たに立ち上げた中国特化型ファンドの顧客への紹介文を見れば、中国IT企業への投資がいかに収益率が高いかがわかる。

 ウォーバーグは高度に特化したファンドにはほとんど資金を出さないが、中国の案件には昨年までに同社のグローバルファンドを通じて投資したという。2015年だけでも中国本土にある複数の企業グループに15億ドルを投じ、この10年では投資額に対し平均2.2倍の利益を上げている。


ウォーバーグが9200万ドルを投じた中国のネット求人広告会社の58同城(58ドットコム)は総収益が7億ドルとなり、投資利益率でほぼ8倍に化けた。携帯電子商取引の口袋購物(Koudai.com)には2900万ドルを投資したところ、同社の企業価値はいまや6億5000万ドルに上る。この2社は投資利益率で見て、ウォーバーグの中国投資で最も成功した案件だ。

 米シティグループはフィンテック投資に関する最近のリポートで「昨年は中国の竜がほえた年」で「アジアは中国の竜のおかげで、フィンテックの投資先としては北米を抜いてトップになった」と述べた。シティによると、米国へのベンチャーキャピタル投資は16年に38%減少したが、中国への投資は倍増した。中国企業はIT分野における全世界のベンチャーキャピタル投資の46%を占めたという。

 中国のIT企業は、主要な新興市場指数の特徴をも変えた。米モルガン・スタンレーは「MSCI新興市場指数はいまやIT企業を多く含む」と指摘する。IT企業の株価のパフォーマンスが現地の他の企業を上回っているだけでなく、指数に中国の巨大ネット企業が追加されたことで、IT企業の影響力が一段と高まった。IT企業は現在、同指数の23%を占め「主要指数の中で最もITの比重が高くなっている」という。

■中国企業か米国企業か判断難しく

 米シリコンバレーの起業家たちはかねて、太平洋の向こう側の新興IT企業を見下し、中国では革新といっても限界があると主張してきた。中国ではいまだに儒教的な決まり切った教育をする大学が多く、高官になったり研究助成金を得たりするには中国共産党とのつながりがものをいう。

 中国のITグループはこうした考え方を変えようとしている。王氏のiCarbonXは様々な病気のリスクを特定し、そのリスクを減らす方法を見つけるため、顧客の健康状態を「デジタル」もしくは仮想で管理するシステムを作ろうとしている。王氏は1月、米国の医療技術会社8社に計3億5000万ドルを投資したことを明かした。こうした事例からわかるように、企業を単純に中国企業や米国企業として分析することがより難しくなる。iCarbonXなどのIT企業は、米中企業間の合併や買収を今後、対等な企業同士の取引案件と見るべきだと主張している。

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