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周牧之:グローバリゼーションに乗り、改革開放が開花
2018-08-28 11:39:05   From:チャイナネット   コメント:0 クリック:

 17年前の中国の世界貿易機関(WTO)への加盟は、開放をもって改革を促す重要な措置だった。今年は中国の改革開放40周年。世界第2位の経済大国となった中国は、米国との貿易摩擦に直面し、国の行く末がいままさに問われている。中国網はこのほど、周牧之東京経済大学教授を取材し、改革開放の進路について聞いた。

 

 周氏は、改革開放の40年間は波乱万丈であったが、今日成果を上げられた理由を一言で述べるならば、グローバリゼーションの快速列車に便乗できたためだとした。

 

 周氏は、開放は決して順風満帆ではなく、長い苦しみを経てきた、中国経済は2000年以降にようやく真の大発展を実現した、という。なぜ2000年以降だったのか。周氏によると、2000年以降に2つの決定的な意義を持つ出来事があった。まず中国は2001年にWTOに加盟した。次に中国はかつての都市化抑制の政策を転換した。さらに2006年から施行された第11次五カ年計画においてメガロポリス発展戦略を打ち出した。

 

 周氏は「WTO加盟はアメリカを始めとする西側諸国の市場が中国に開いたことを意味し、中国が世界の交流交易経済に参加するための障害が一挙に取り払われた。中国経済はその後、快進撃を続けた」と述べた。

 

 中国は今日すでに米国に取って代わり、世界経済成長への寄与度が最も高い国になっている。特に2008年の世界金融危機で、米国経済がマイナス成長に陥り世界経済の足を引っ張った時に、中国経済は成長を続け、世界から注目を集めた。

 

改革開放、重大な節目を迎える

 

 改革開放40年の現在、中国は重大な節目を迎えていると周氏は指摘している。

 

 「かつて中国の最大の強みは、低コストであった。マンパワーも土地も環境も税金もすべて低コストだったが、現在は全面的に高騰している」

 

 周氏によると、2000年以降の中国はグローバリゼーションに乗ったことで大きな利益を手にした。しかしその反面、本来改革に取り組むべき多くの問題を是正せず、むしろ拡大すらさせてしまった。これらの問題の深刻化は今日の中国を苦しめている。これを解消するには、「開放」が唯一の処方箋であると周氏は力説している。

 

交流交易経済に関与する者のみが発展を手に

 

中国人口流動:流入

 

 改革開放40年は、中国の都市化が急速に進んだ40年であり、中国の都市規模が拡大した40年でもある。

 

 周氏は、1999年から2001年まで中国国家発展改革委員会と国際協力事業団(JICA)と共同で実施した中国都市化政策に関する調査の責任者を務めた。同調査は、中国の人口と産業・経済が将来的に、珠江デルタ、長江デルタ、そして北京・天津を中心とする京津冀エリアという3大メガロポリスに集中すると予想した。その後の事実は、この予想が的中したことを証明した。

 

 周氏は、予想が正確だったのは、グローバリゼーションという時代への判断が正しかったためと強調する。グローバリゼーションの時代は本質的に、交流交易経済の時代であり、これに積極的に関与する者のみが発展を手にする。関与しなければ疎外される。中国で交流交易経済の発展に最も適しているのは、この3つのエリアだと判断したという。

 

都市人口が250万人以上増加した世界の都市 

 

 周氏によると、1980年から2015年までの35年間で、人口が250万人以上増加した都市は世界で92都市にものぼった。うち中国が3分の1弱の30都市を占めている。92都市は大きく分けて、臨海都市と中心都市に分かれる。

 

 

都市人口が250万人以上増加した中国の都市

 

 「80年代以降、世界の産業と人口がより開放的で活力ある都市に殺到した。上述した92都市の人口は5億人以上も純増した。グローバリゼーションの中で交流と変革が進んでいるところほど、交流交易経済がし易くなり、大都市間競争に勝てるようになる。臨海都市と中心都市は、その開放性とセンター機能をもって、交流と変革の優位に立つ」

 

人本位の都市化を

 

 

《 都市化:中国現代化的主旋律 》から《 中国都市総合発展指標 》へ

 

 周氏によると、上述した20年前の日中共同調査は、中国政府に「健全な都市化はグランドデザインと全面的な制度改革を必要とする」と提案した。さらに集約化社会、流動化社会、持続可能な社会、市民社会という、中国の都市化が掲げるべき4つの社会目標を打ち出した。

 

 周氏は「しかし中国ではグランドデザインと制度改革のないまま急速な都市化が進み、人為的に多くの矛盾を生み出した。都市化の進展に連れ、これらの矛盾が激化している」と述べた。

 

 周氏は2001年、先の日中合同調査の成果を『都市化:中国現代化の主旋律』にまとめて中国で出版した。周氏は、都市化という主旋律をめぐり戸籍制度、土地制度、税収制度、公共サービス制度、社会保障体制、さらには行政階層などを総合的に改革・推進べきだと考える。

 

 周氏は、「都市化の発展は人々の福祉を基礎としなければならない」と力説する。中国を代表とする都市が農村からの移住者の追い出しを図っているなどの報道があるが、「そうした問題の発生は、人本位の都市化になっていないことが根本的な原因だ、すべての問題は価値観の問題である」。

 

周氏は現在、中国国家発展改革委員会との協力で『中国都市総合発展指標』を開発し、環境、社会、経済という三つの軸から中国の都市を評価し、人本位の都市発展を促している。同指標の日本語版『中国都市ランキングー中国都市総合発展指標』が今夏、NTT出版から出版され、日本でも話題を呼んでいる。

 

日本の経験に中国はどう学ぶか

 

 周氏と、米国の著名な東アジア問題専門家のエズラ・ヴォーゲル・ハーバード大学名誉教授は、かつて対談で、日中米の過去・現在・未来について鋭い議論を展開し、中国と日本の台頭の相違点と共通点を総括した。その中で周氏は、中国と日本の経済発展はいずれも米国市場を利用し、開放によって利益を手にし、急速な都市化を経験したと語った。

 

 周氏は「日本はこの20年、中国以上に開放を続けた。バブル経済の挫折により、日本はさらに開放を加速させ、多くの改革を進めた。現在の日本で好景気が続いているのは決して偶然ではない」と指摘している。

 

 日本は中国にとって非常に価値のある鏡であると周氏はいう。

 

 周氏は、「日本の経験の中国への示唆は、さらなる開放をもって諸問題の解決に取り組むべきである」としている。

 

「開放はまずグローバリゼーションから更なる利益を引き出せる。また、開放をもって改革が促される。さらに、開放により中国が世界と共振し、世界に一層が受け入れられる」。そう周氏は強調した。

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