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レアアース国際価格上昇 磁石向け1年ぶり高値 中国で備蓄強化の動き
2016-06-16 09:48:38   From:日本経済新聞   コメント:0 クリック:

 ハイブリッド車(HV)やハイテク家電に欠かせないレアアース(希土類)の国際スポット(随時契約)価格が上昇に転じている。主産地の中国で国内備蓄の動きが強まっており、磁石に使うネオジムは約1年ぶりの高値圏で推移。違法採掘の取り締まりが強化されていることも響き、上昇基調が続くとの見方が強まっている。

 主力品の価格は相次ぎ上昇している。高性能磁石の原料となるネオジムは6月時点で1キロ56ドル前後と前月比10%高となり、2015年7月以来の高値圏となった。耐熱性を高めるジスプロシウムは同265ドル前後と同3%高い。蛍光体の原料にもなるテルビウムは同570ドル前後で同11%値上がりした。

 生産比率の8割超を占める中国で、備蓄強化の動きが価格を押し上げた。今年4月以降に中国の主要サプライヤー6社は商業備蓄を開始した。

 商業備蓄とは主要各社が市場に放出せず、国の指定倉庫に入れておく仕組みで「国だけでなく、民間にも市況対策をさせる目的がある」(商社)という。今年は9種類のレアアースについて、3回合計で約5千トンを備蓄する計画だ。

 中国では商業備蓄とは別に国家備蓄も行われる予定。主要6社から政府が買い上げるもので、備蓄量は約1万5千トンになる見通し。商業、国家両方合わせると約2万トン規模となる。中国の年間生産量が約10万トンといわれており、大規模な備蓄となる。

 違法採掘や密輸品の取り締まりが強化されていることも価格の押し上げ要因になっている。今春には広東省での大規模な違法採掘に対して厳しい判決が下された。

 10年秋の尖閣諸島沖での衝突事件をきっかけに、レアアースの価格は急騰した。高値を嫌った需要家は使用量を削減する技術開発への取り組みを進めて、従来に比べて購入量が大幅に減少した。ネオジムの直近の価格は最高値をつけた11年7月から、9割弱下落している。

 磁石向けの需要は堅調に推移している。HVや電気自動車(EV)に搭載する高機能モーターや、産業用ロボット向けのモーターに使うネオジムなどの引き合いが増える見通し。中国の国内備蓄強化の動きとも相まって、思惑買いが増えた。

 今後は中国国内の人件費上昇を反映して「中長期的には値上がりするのではないか」(磁石メーカー)との見方が出ている。中国主導でレアアースの国際標準規格作りの動きが進んでおり「国際相場への影響力が一段と増すだろう」(つくし資源コンサルの渡辺美和代表取締役)との声も目立つ。


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