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和牛値上がり ブレーキ 子牛高騰も価格転嫁できず 消費鈍化警戒、農家厳しく
2016-06-21 10:59:17   From:日本経済新聞   コメント:0 クリック:

和牛卸価格の上昇が止まった。東京市場では昨年末に最高級のA5等級の枝肉が1キロ3000円台に乗せたが、今は2800円前後と1割安い。小売価格が4年で3割上昇、これ以上の卸値上昇は消費に響くためだ。農家が買う子牛の価格は上昇傾向で、コストを転嫁できない農家の経営は厳しい。

 卸価格の上昇は幅広い等級で一段落した。A4等級は1キロ2600円前後で推移している。15年12月には一時、大台の1キロ2800円を超えたが、現在は1割安い。

 一方、和牛の子牛価格は「バブル」と呼ばれるほど高いまま。繁殖農家の離農が止まらず、子牛は足りない。全国平均(オスとメスの合計)は1頭80万円を超え、過去最高値圏だ。ここ2年で5割上昇した。

 子牛は和牛の肥育農家が市場で買い付け、20カ月ほど育てて成牛として売る。15年までは子牛価格の上昇につれて枝肉価格も右肩上がりだった。ここにきて枝肉への価格転嫁が難しくなり、肥育農家には逆風だ。

 JA宮崎中央会(宮崎市)は「17年1月にも県内の平均的な農家が赤字になる」と試算。同年8月以降は農家の労働費さえ賄えなくなるとみる。全国の農家が赤字になれば、国と農家が拠出している積立金を取り崩すことになる。赤字が長引けば財政負担も増える。

 スーパー店頭では和牛価格が高いままだ。高級外食店なら仕入れ価格の上昇分を吸収する余地があるが、小売店だと和牛を安売りにかけづらい。

 首都圏で高級スーパーとして知られるクイーンズ伊勢丹でも、週末19日の特売の目玉は「交雑牛」の肩ロース(100グラム754円)だった。交雑牛は和牛と乳牛をかけ合わせた牛で、和牛より霜降りが少ない。和牛肩ロースは安売りでも同980円と交雑牛より30%高かった。「店によっては仕入れる和牛の等級を落とさざるを得ない例もある」(食肉卸)という。


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