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三井造船や常石造船 造船効率化、中韓に対抗
2016-08-23 18:16:38   From:日本経済新聞社   コメント:0 クリック:

映像で作業「見える化」 VR使い塗装技術向上 
造船各社が相次いでIT(情報技術)やVR(仮想現実)を活用した生産性向上に取り組む。三井造船は作業員の動きをセンサーなどで分析して作業時間を最大4割短縮させるほか、常石造船(広島県福山市)もVR活用で塗装工の技術力を引き上げ、塗料の使用量を減らす。中韓勢への対抗に加え、人手不足にも対応し、景気減速で受注が減るなかでも現場の生産改善で採算性向上を目指す。
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 三井造船は造船や船舶機械メーカーなど185社・団体が加盟する日本船舶技術研究協会(東京・港)に協力し、映像から作業員の行動を分析するシステムを開発する。現場に複数台のカメラを設置し、発生する光の色や強さから作業員がどのような作業をしているかを把握。作業員が持つスマートフォン(スマホ)に搭載された加速度センサーや通信距離のほか、溶接機器などに取り付けたRFID(無線自動識別)タグの情報と合わせ、動きや位置なども特定する。

 機械や工具の位置、作業手順などが見直せるようになり、造船所によっては最大4割、作業時間の短縮につながる。鉄板に部品を取り付ける溶接や研削作業で活用できる。名村造船所、住友重機械工業系の造船会社も参加する。同協会は計4500万円の開発費を投入する。

 中堅の常石造船はVRシステムの活用で塗装工の技術力向上を進める。大型スクリーンと3D(3次元)眼鏡、スプレーガンを使い、スクリーン上に映る船体のVR画面に向け塗装作業をする。塗料が船体に均一に塗れたか、ムラがないかを分析・判定し、改善点などを作業員に知らせる。

 このほど、同システムに連動した塗装工の技能に関する独自の評価基準を作った。中型ばら積み船で1隻当たり6千万~7千万円程度かかる塗料費用の削減を目指す。

 富士通などはタンカー建造をサポートするAR(拡張現実)システムを開発。スマホやタブレット(多機能携帯端末)のカメラに配管を映すだけで、その配管の取り付け位置や手順、申し送り事項などが表示される。タンカー1隻には7000~2万本の配管がある。1本の確認時間を従来の10分の1の1分程度に短縮させ、作業効率を改善する。

 造船業界は円高や新興国景気の減速に加え、昨年末まであった環境規制強化前の駆け込み需要の反動減に苦しんでいる。国土交通省も造船現場にITやインターネットに機器をつなぐ「IoT」技術を導入していく「アイ・シッピング」策を打ち出している。補助金などの支援も検討しており、2025年には作業員1人あたりの船舶建造量で14年比5割増の250総トンに増やす目標を掲げている。

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