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米シェール生産性2倍 原油価格の下落圧力に
2016-10-21 14:06:15   From:日本経済新聞社   コメント:0 クリック:

米シェールオイルの生産性向上が続いている。主要鉱区の石油掘削装置(リグ)1基から1日で生産する原油量が、過去2年で2倍前後まで上昇した。原油安が採算上の大きな問題となるなか、IT(情報技術)活用などを通じた生産技術の革新が進んだ。シェールオイルの生産が再び勢いを取り戻せば、減産で合意した産油国の足並みの乱れも招きそうだ。

 

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 かつて米シェール業界では原油価格でみた採算点が1バレル40~70ドルとされてきたが、現在は30~40ドル台でも安定的に採算がとれる例も出てきた。市場ではシェール大手、ヘス・コーポレーションのジョン・ヘス最高経営責任者(CEO)が、メディアに語った発言に注目が集まっている。「シェールの生産は価格次第。今の50ドルでも生産維持は可能で、60ドルになれば日量30万バレル生産が増える」

 足元で米国のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル50ドル前後で推移する。底堅く推移する背景に石油輸出国機構(OPEC)の予想外の減産合意がある。原油の需要と供給が均衡に向かうとの観測が広がった。ただ、シェールが増産に転じれば供給過剰が解消されにくくなり、価格の下押し圧力となる。産油国のシェア確保の観点から減産が実現しない可能性も生じる。石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之主席エコノミストは「需給の悪化懸念から、1バレル50ドル台前半で押し返されやすくなっている」と指摘する。

 米エネルギー情報局(EIA)が今月17日発表したシェール鉱区の生産性調査によると、シェールオイルの8割近くを生産する主要3鉱区(バッケン、イーグルフォード、パーミアン)で新たに掘削を始めたリグ1基当たりの平均原油生産量が原油急落が本格化した2014年9月から今年9月までに2倍前後に増えた。

 

シェールの掘削・生産技術は進化している(米テキサス州イーグルフォード)
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シェールの掘削・生産技術は進化している(米テキサス州イーグルフォード)

 テキサス州イーグルフォード地区では14年9月に1リグ当たり日量636バレルだったが約1.8倍の1170バレルに増加。テキサス州とニューメキシコ州に広がるパーミアン地区では同2.8倍の同575バレルとなった。

 シェールは、砂などを混ぜた水を高圧で流し込み、地中の頁岩(けつがん)の微細な割れ目から原油を採集する。地質分析にビッグデータ解析を用いることで、使う砂の量や水圧のかけ具合などを最適な水準に設定できるようになり、生産効率の向上に結びついた。

 生産活動を支援するシュルンベルジェやハリバートンなどの石油サービス会社が導入した新技術では、採集が済んだ弱い地質の箇所にフタをして、堅い層にも水を行き渡らせる。1つの穴から採集できる原油を増やせるようになった。

 イーグルフォードで主に生産活動を展開するEOGリソーシズは、2年前に比べ16年の投資を約7割減の25億ドルに減らす計画だが、今年の原油生産量は日量約27万バレルと2年前に比べ5%減にとどめる見通しだ。「生産性向上で1バレル30~40ドルを前提でも採算がとれる油井が出てきた」(EOGのビル・トーマスCEO)

 シェール企業は同様に投資抑制で新規の油井の掘削を抑えているものの、1油井あたりの生産量増加させ、原油生産量を高水準に保っている。バッケンやイーグルフォードは比較的早くから開発が始まったことで、すでに1油井当たりの生産量もかなり高い。

 一方、パーミアンなど他の地区では未開拓の優良鉱区も多く、地層分析などの知見・ノウハウの蓄積余地も大きい。1油井当たりの生産量もさらに増える可能性が高い。シェールに出遅れた石油メジャーのエクソンモービルが、パーミアンで買収を通じて優良鉱区を囲い込む動きも出ている。

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