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中国大都市「バブル」懸念 地方政府が購入制限策 9月住宅上昇率、アモイ47% 上海39%
2016-10-22 15:30:22   From:日本経済新聞社   コメント:0 クリック:

中国の一部の大都市で不動産バブルへの懸念が強まっている。国家統計局が21日発表した9月の主要70都市の新築住宅価格動向によると、台湾対岸のアモイは前年同月比47%、上海は同39%上昇した。価格高騰を抑えようと北京や天津など20超の地方政府が9月末から相次いで不動産購入を制限する措置を導入したが、どこまで効果が上がるかは不透明だ。
北京市内では「不動産購入の半分以上が投資目的」といわれる
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北京市内では「不動産購入の半分以上が投資目的」といわれる

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 前年比でみた上昇幅は上海近郊の合肥が47%、深圳が34%、北京が30%。前月比の上昇幅も北京(4.9%)や上海(3.2%)のほか、無錫(8.2%)、鄭州(7.6%)、杭州(5.5%)などが大きく値上がりした。北京中心部では面積80平方メートルで1千万元(約1億5千万円)のマンションは珍しくない。

 米調査会社によると、深圳のマンションの平均価格は住民の平均年収の70倍。3~6倍が正常とされ、庶民にはとても手が届かない。中国の不動産大手、大連万達集団の王健林董事長は9月、米CNNの取材で「中国の不動産は人類市場最大のバブル」と語った。

 高騰に危機感を募らせた地方政府は9月末から建国を祝う10月初めの連休にかけて相次いで不動産の購入制限策を導入。不動産を購入する際の頭金比率の引き上げが柱だ。特に2軒目以降の購入は同比率を4~5割超に上げた。統計局の盛来運報道官は「不動産投資や投機に狙いを絞った抑制策」とみる。

 統計局は今回、通常は出さない10月中旬の価格をわざわざ公表した。前月比の上昇幅は北京で1.2%、上海で0.7%、無錫で4.4%と9月より縮まり、深圳や成都はわずかに下落した。不動産仲介大手、中原地産の張大偉首席アナリストは「抑制策で不動産取引が減少した。今後は政府のコントロールの下で値上がり幅が縮小していく」と分析する。

 上海、深圳、南京などは今春にも住宅購入を制限する政策を打ち出した。一時的に価格上昇のペースが鈍ったが、8月になると再び上昇幅が拡大し、9月には過熱気味になった。今回の措置も効果が出るかどうかはまだわからない。

 不動産が高騰しやすいのは中国人の資産運用手段が限られるためだ。中国人民銀行(中央銀行)が預金金利を昨年自由化したが、銀行経営を支えるため金利規制を事実上復活した。海外の株式も買えない。国内の株式も昨年夏の上海市場の暴落で多くの個人が痛手を受けた。不動産以外にめぼしい投資先が見当たらない中、景気下支えを狙った金融緩和であふれたマネーが不動産に流れ込む。

 北京の不動産投資会社の社長は「北京中心部のマンションは以前は台湾や香港の人が買っていたが、彼らは昨年ほとんどの物件を売った」と話す。大都市の不動産価格が下落すれば住宅を担保に融資する銀行の財務も傷みかねない。中国銀行業監督管理委員会の王勝邦副主任は「北京や上海では銀行に融資審査の証拠書類を多く集めさせるなどしてリスクを注視している」と語る。

 中国国内で不動産が高騰するのは沿岸部などの20余りの大都市。主要な70都市の中でも北朝鮮国境に近い丹東やウイグル族が暮らすウルムチなど6都市は前月比で下落した。「中国のほとんどの地方都市の課題はいまだに大量のマンション在庫をどう減らすか」(統計局の盛氏)という。不動産市場の激しい二極化も問題になっている。

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