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東芝、最終赤字1兆円 米WH破産法を申請
2017-03-30 14:58:20   From:日経   コメント:0 クリック:

経営再建中の東芝は29日、米原子力子会社ウエスチングハウス(WH)が米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を米国の連邦破産裁判所に申請したと発表した。債務保証の履行などで2017年3月期に国内製造業で過去最大となる1兆100億円程度の連結最終赤字に陥る見通しだ。経営危機の起点となった海外原子力事業から撤退するが、財務が著しく悪化し再建の道筋は一段と険しくなった。
米ジョージア州で建設中の原子力発電所=共同

米ジョージア州で建設中の原子力発電所=共同

 「海外原子力事業の損失リスクの遮断やWHの再生に不可欠だ」。同日の記者会見で綱川智社長は破産法申請の理由を説明した。米WHと欧州でWHの事業を統括する英国の持ち株会社の2社で破産法を申請した。負債総額は計98億ドル(約1兆900億円)になる。

 17年3月期業績への影響は「再生手続きの過程で判明するため未確定」(綱川社長)としたが、損益の悪化額は6200億円と見積もった。最終赤字は従来予想の3900億円から1兆円超に拡大する。リーマン・ショック後に日立製作所が計上した7873億円の赤字を上回り、製造業として過去最大となる。株主から預かったお金である自己資本は吹き飛び、年度末の3月末時点で6200億円の債務超過になる見通しだ。

 破産法の申請でWHは東芝の連結決算から除外される。来期以降は「海外原発事業の損失を遮断できる」(綱川社長)見通しだが、東芝は原発建設が滞った場合にWHの債務を保証する契約を結んでいる。WHへの貸付金も回収できない可能性が高く、短期的な赤字額が膨らんだ。

 東芝とWHは裁判所とも協議しつつWHの支援先を探していく。WHは有望な支援先として韓国電力公社グループに協力を要請した。菅義偉官房長官は29日の記者会見で「日米政府間でも引き続き情報交換をしっかりしていきたい」と語った。

 懸案だったWHの破産法申請によって、次の焦点は半導体メモリー事業の分社と売却に移る。29日はメモリー新会社への出資提案の1次締め切りで、30日には臨時株主総会を開きメモリー事業の分社化を決議する。新会社の株式を売却して原発による損失の穴埋めを目指すが、赤字拡大で債務超過の解消には高値での売却が必須になった。

 期末時点で債務超過になり東芝株の上場市場は8月1日に東京証券取引所の第1部から第2部へ変わる。18年3月末に債務超過を解消できないと東証の規定で株式は上場廃止になる。東芝は再建にメドが立った段階で財務改善と成長資金の確保へ公募増資を検討する可能性が高い。メモリー事業の売却による上場維持は喫緊の課題になる。

 東芝は2度延期した16年4~12月期の決算を4月11日に発表する予定だ。WHの破産法申請は「17年1~3月期に反映させる」(平田政善最高財務責任者=CFO)ため影響は限定的になる見通しだ。平田CFOは17年3月期の本決算の発表について「遅れはないと思っている」と話した。

 東芝は成長のけん引役と位置づけてきたメモリーと海外の原子力事業を失う。綱川社長は「エレベーターや照明など社会インフラを新生東芝の主軸に据える」と強調し、18年3月期の業績については「黒字にもっていく」との目標を示した。

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