「AIは製造業を刷新する」。郭氏は新北市の鴻海本社での会見で力を込めた。「ビッグデータなどを収集・分析し、実体経済(製造現場)に結合させる専門家が不足している」と指摘。将来は中国の深圳、北京などで同様の組織を設け、日米などでも人材を募集する。「(最終的な)予算に上限は設けない」と攻めの姿勢を鮮明にした。
会見には鴻海グループ副総裁でシャープ社長を務める戴氏も出席。日本経済新聞の取材に「(製造業の革新は)シャープも一緒にやる。既に(あらゆるモノがネットにつながる)IoT事業本部を分割するなど準備を進めている」と述べた。
戴氏は現場で、工場管理などにAIを活用する台湾のベンチャー「シナジーズ・インテリジェント・システムズ」と合弁会社の設立で合意した。投資額など詳細は明らかにしなかったが「3月中には正式契約したい」と述べた。
鴻海は中国の巨大工場を中核とした大量生産で成長。ただ収益源である米アップルのスマートフォン(スマホ)の減速などで逆風が強まる。2日前にはIoTやAIを活用した製造を掲げる主力子会社「フォックスコン・インダストリアル・インターネット」(FII)の中国・上海での新規上場案を臨時株主総会で決議した。