隕石に情熱を燃やす中国富裕層、市場高騰の要因に
2014-11-05 10:33:51 From: コメント:0 クリック:

中国の富裕層の一部の間で今、隕石の収集が流行している。高級スポーツカーやブランド品のバッグ、豪邸などよりも、宇宙からやってきた太陽系のかけらに大枚をはたいているのだ。
童先平(
)氏(50)も、そんな中国人実業家の1人。1967年にロシアの川底で見つかった数十億年前のものとみられる重さ176キロの石鉄隕石(パラサイト)を、100万元(約1800万円)で購入した。まるで石炭の塊のように見えると認めつつも、「それだけの価値があった。宇宙から届いた『便り』なのだから」と言う。翡翠の売買で財を成した童氏は、西部・新疆ウイグル自治区(
)のウルムチ( )に作った自前の展示スペースに何十個もの隕石を保管している。コレクションの中には、やはり約100万元したギベオン隕石や、自ら掘り出した炭素質コンドライトなどもある。中国の新富裕層の派手な金遣いは、羨望と嘲笑の的になっている。「会社創業者や社長は、大きな隕石を好む」と童氏。コレクター仲間の1人で、ウルムチ初の地下鉄建設を受注した建設会社社長は明言した。「希少な隕石があれば、金に糸目はつけないよ」
童氏は、成金と呼ばれるのは構わないが、物欲というものは理解できないと話す。「車は大量生産だ。でも隕石は1つとして同じものがない」
■コレクターと研究者、持ちつ持たれつ
隕石には、太陽系の起源を解き明かすカギが眠っていると考えられている。地球に生命をもたらしたと信じる科学者もいる。
砂漠や北極圏で発掘された隕石は、国際市場で取引される。希少な隕石はオークションで数十万ドルの値をつける。古生物学者や考古学者は、自分たちの発掘現場から隕石が持ち出されることを非難するが、隕石の専門家はこうした取引を歓迎している。
「コレクターとは協力関係にある」と、英オープン大学(
)のモニカ・グレーディ( )氏(隕石学)は語った。「われわれには自ら発掘・収集する資金がない。代わりに、大勢の隕石商人たちがやってくれる」 発掘した隕石にどれだけ高い市場価値がつくかは、学者のお墨付きにかかっている。その際、学者たちは自分の研究用に隕石の一部をもらうのだという。
■市場高騰、増える偽物
しかし、中国人バイヤーたちが押し寄せたことで隕石の価格は高騰した。古株のコレクターの間では、偽造品が出回る懸念が高まっている。
「彼らは、隕石の価値にしか興味がない。その隕石に秘められた科学を理解していない」。米アリゾナ(
)州の砂漠の町トゥーソン( )で開かれた世界最大の隕石見本市で、中国人の公務員ブライアン・リー( )氏は隕石の標本をためつすがめつ、ぼやいた。「だから偽物が多くなった」海外の評論家もリー氏と同じ心配を口にした。
「中国のバイヤーは大きな隕石が好きだ。高額(隕石)市場での中国人バイヤーの存在感は際立っている」と、米専門誌「隕石タイムズ(
)」のコラムニスト、エリック・トゥエルカー( )氏は指摘する。「だが、中国から出品される隕石の大半は誤認か、偽物だ。ここ数年続いている問題で、私は中国産の隕石全てに不信感を抱いている」童氏は自ら、タクラマカン(
)砂漠にせっせと足を運んでは「天からの贈り物」を探している。過酷な自然が襲いかかって来るが、それすら「楽しんでいる」という。「やりたいことをやっている。宇宙の謎は尽きない。だから、私たちは隕石に興味を持つんだ」と童氏は語った。
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