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消費税引き上げは個人消費に打撃 衰退する日本経済
2014-11-19 09:28:06   From:人民網日本語版   コメント:0 クリック:

17日の東京・銀座の様子。閉店を控え最後のセールを行う店の前を、通行人が素通りしていた日本の内閣府が17日に発表したデータによると、イ

17日の東京・銀座の様子。閉店を控え最後のセールを行う店の前を、通行人が素通りしていた

日本の内閣府が17日に発表したデータによると、インフレ調整を経た今年第3四半期(7-9月)の日本の国内総生産(GDP)は前期比0.4%減少し、年率換算で1.6%の減少となった。2四半期連続のマイナス成長で、技術的な衰退がみてとれる。日本政府が予定されていた消費増税を先送りするという予測も出ている。人民日報が伝えた。

▽経済は衰退の淵に

今年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられると、第2四半期(4-6月)のGDPは年率換算で7.3%の大幅低下となった。日本政府と市場関係者は第3四半期の成長率を2.0%増加とみていたが、実際のデータは彼らを失望させるものだった。データ不振の影響で、東京証券取引所の日経平均株価は500円を超える値下がりとなり、一時は1万7千円の大台を割り込んだ。

個人消費の落ち込みが日本の7~9月期の経済を低迷させた最も大きな要因で、GDPを0.5ポイント引き下げた。このうち民間の住宅投資は同6.7%減少し、企業の設備投資も同0.2%減少した。同期にはGDPの60%を占める個人消費が前期比0.4%増加して、2四半期ぶりにプラスに転じたが、4~6月期に前期比5.0%減少したことを考えると、この数字が力強い回復ぶりを示すとはいえない。賃金の上昇率が物価の上昇率に追いつかず、消費者は財布のヒモを固く締めている。台風などの天候要因も外食や娯楽などの消費にダメージを与えた。

大幅で急速な円安や自動車などの輸出が増加したことにより、7~9月期の日本の輸出は前期比1.3%増加し、4~6月の同0.5%の減少に比べて好転した。また輸入は原油などのエネルギー需要が上昇したために同0.8%の増加となった。4~6月は同5.4%の減少だった。

みずほ総合研究所などの6つの大手投資機関によると、日本の7~9月期の経済データは「予想を上回る不調」だった。甘利明経済再生担当大臣はデータ発表の記者会見で、「企業業績の改善が賃金の改善につながり、それがさらなる企業業績へとつながっていく『好循環』を起こさなければならない。景気後退という言葉で簡単に片づけられない」と述べた。

▽経済回復への信頼感が不足

第3四半期の経済データは、これまでずっと安倍政権のうち出した経済政策「アベノミクス」の今後の方向性を判断する重要な指標とみなされてきた。実際、10月末に日本銀行(中央銀行)が突然の追加金融緩和を実施したことから、政府が今後の経済回復に十分な信頼感を抱いていないことがうかがえた。

金融緩和はアベノミクスの第1の矢であり、その狙いは国民の間でインフレ観測を高め、個人消費を牽引することにある。だが国際通貨基金(IMF)の最新の予測によると、消費税率引き上げや円安要因を考慮した今年の実質的なインフレ率はほぼ0で、日銀が目標とする来年4月のインフレ率2%の達成はかなり難しいとみられる。円は過去約2年間で約40%も値下がりして、経済のアンバランスを加速させている。第一に、実体経済の成長が株式市場の伸びを上回っていない。通貨緩和と海外投資機関の資本投入を受け、日経平均株価は1万7千円を超えて7年ぶりの高値を更新したが、経済成長を推進するエンジンの一つとされる企業の設備投資は2四半期連続で減少している。

第二に、賃金の伸びが物価の伸びに追いついていない。今年の夏のボーナスは15年ぶりの増加となったが、物価上昇要因を考慮すれば、第3四半期の実質賃金は2.5%の減少だった。

第三に、輸出の伸びが輸入の伸びを下回った。日本の製造業は海外移転によって「空洞化」しており、円安が期待したほど輸出推進の効果を上げておらず、自動車メーカーなどの大企業だけが利益を上げた。燃料などの輸入価格が高騰したため、今年度上半期(4~9月)は貿易赤字が過去最高を更新した。統計によると、円安の影響により、今年上半期には日本の液化天然ガスの輸入額が2年前に比べて21.3%増加し、肉類の輸入額も同29.9%増加したという。

民主党の枝野幸男幹事長は17日、内閣府が発表した第3四半期の経済データに関してメディアからの質問に答えた際、株価などが上がることによって、それが消費や設備投資に回るという資産効果を(安倍首相は)ずっと言ってきたが、効果は上がっておらず、「アベノミクス」の限界があらためて証明されたと述べた。また米国エール大学の浜田宏一名誉教授は同日取材に答える中で、日本経済にとって最大の問題は予定通りに消費増税を行って財政収入を増やすことにあるのではなく、構造改革のペースを加速させることにある。たとえば高すぎる法人税率を引き下げて、海外からの投資をより多く呼び込むことだ、と述べた。

▽政局に不確定要因をもたらす

不調な経済データに直面して、消費税率の再引き上げを先送りするよう政府に求める声が高まっている。2012年8月に可決された消費税増税法案では、日本政府は15年10月に税率を8%から10%に引き上げ、GDPの2倍以上に膨らんだ財政赤字を改善するとされていた。予定通りに増税すれば、低迷の淵にたたずむ日本経済にさらなる打撃を与えるし、増税しなければ、税収が減少して、国際社会における日本政府の信用低下を招くことになる。

消費増税を先送りするかどうかについて、日本社会では意見の対立が大きくなっている。IMFのラガルド総裁は16日の主要20カ国・地域(G20首脳会議の閉幕後の記者会見で、日本は予定通り消費税率を引き上げ、日本の財政再建に対する国際社会の懸念を解消すべきだとの見方を示した。日本紙「朝日新聞」が大企業100社を対象に行ったアンケート調査によると、60%が税率引き上げに賛成した。これと同時に、中小企業の3分の2と国民の70%が引き上げの先送りを求めている。安倍政権の3人の経済顧問のうち、浜田宏一氏と本田悦朗氏は先送りに賛成の立場を明確にしている。本田氏は、第3四半期のGDP増加率が3.8%を下回れば、消費税率を引き上げるべきではない。消費税増税法の付則には「景気条項」があり、経済状況に基づいて増税しないことを選択することも可能だと指摘する。

安倍首相自身は消費増税を行うかどうかについて、まだ明確な態度を示していない。日本メディアの報道によると、首相は増税の時期を17年4月に先送りし、衆議院の解散を早め、消費増税について国民に信を問う可能性があるという。与野党の間では選挙をめぐる駆け引きが始まっている。野党は臨戦状態に入り、党首たちは頻繁に連絡を取り合って連立の構想を描き、選挙戦でより多くの議席を獲得しようとしている。現在の勢力図から考えて、安倍首相が選挙の時期を早めたとしても、自民党の一人勝ち状況は変わらない可能性もあるが、日本の変わりやすい政局に不確定要因が加わることは間違いないといえる。

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